第239回:井手山岳会日本支部登山のご報告 produced by H.Tanuma
期日:2010年6月26日(土)
行き先【中央線沿線*鶴ヶ鳥屋山(1374m)南東尾根】
コースタイム:
富士急線「都留市」駅[8:49/8:55]〜(タクシー)〜つるぎ橋[9:10/9:20]〜P1[10:10/10:15]〜836m峰[10:25]〜黒野田林道[10:51]〜展望ひろば[11:05/11:15]〜P2[12:00/12:10]〜鶴ヶ鳥屋山[12:50/13:20]〜宝越え分岐[13:55/14:00]〜黒野田林道[14:18]〜鉄塔[14:26]〜船橋沢[14:47]〜笹一酒造[15:23]〜JR中央線「笹子」駅[15:35]
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(提供 Konochan)
「梅雨の最中ですので、天気次第では行き先が変更になる場合が(多々)あります。何れにしても、たとえ早朝から雨が降ったとしても(槍が降らない限り)所定の車両にはお乗り下さい。もちろん、雨具は完全装備でお願いします。」とは副隊長からのメッセージ。「行く」と決めた以上は「雨でも登る」井手山岳会、今回のターゲットは「鶴ヶ鳥屋山をバリエーションルートから」だ。
スタートは「つるぎバス停」付近から。目の前のつるぎ橋を渡り、その先を左折してデイケアセンターを左に見て上がっていく。途中、民家の番犬に吠えまくられ、その家のご主人には「鶴ヶ鳥屋山?この先行っても道なんか無いよ。」と助言される。道の突き当たりはローム層の崖が東西に通せんぼするようにのびている。そう言えば何となく踏み跡にも見えなくもない…てな所を「ここら辺から行くか。」と登り始める。せっかく副隊長が後の人のことを考えて階段状に踏みしめてくれているのに、ふかふかの赤土は崩れやすい。踏み跡を台無しにし、後続メンバーに「ごめん。」と言いながら登る。木の枝や草につかまりながらでないととても上がれないような急登。ところが、手に当たったのはタラの木、山椒の木、野イバラなど棘のある木ばかり。蒸し暑いけど長袖を着ればよかったと思っても、もう後の祭り。「イ〜タタタタタッ。イ〜タタッ。もー、何これ〜?(怒)なんでこんなとこに棘だらけの木があるの〜?イ〜タタタタタタッ」タマちゃんの悲鳴があんまり大きいので、みな、自分が痛いのも忘れて笑いながら「大丈夫〜?」と立ち止まる。尾根に上がると道は広く、順調に進んでいく。雨粒は届かないが山全体がしっとりとしている。こんな湿気の多い日は松ぼっくりの開いているものが一つもない。「ピーターラビットの自然観察」の本にも載っていたっけなどと思い出しながら急勾配を登る。
登り始めてから最初のピークらしい場所で小休憩。「ここが836m峰かな?」「いや、それは一つ先。ここは780mピークよ。」エヘンとばかりに最近GPSを使いこなせるようになったクボっちが特定。一度下ってから本物の836m峰を越え、間もなく黒野田林道に出た。さて、林道の山側の壁はずうっとコンクリートで固められた崖である。コンクリート沿いを東に歩いて展望所で休憩、ウッディさん持参のパイナップルでのどを潤す。この天気なのに富士山がうっすら見えた。もうすぐ山開きの富士は、頂上にまだ雪がある。
一息ついた後、もう一度ゆっくり西に戻りながら、虎視眈々と登れそうな場所を探す副隊長。立ち止まったのは、コンクリートが一部剥がれて草が生えたような所。「エ〜ッ?こんなとこ登るんっすか〜?」「さあ、行くよ。」「ヒエ〜ッ」…と、言いながら少し上がれば「崖崩れ止めの金網があるからつかまりやすいよ〜。」と楽しそうな菊丸。しかし喜んだのも束の間、ストックが枝に絡まる。その後数秒間、枝と格闘するはめに。それを助けようともせず大笑いするクボッち。下の方ではやはり枝と格闘中か、隊長のからかう声とタマちゃんの大声と大笑い。みんな笑うのと登るのに忙しく尾根にたどりついてほっとする。でもその尾根がずっとアキレス腱伸びっぱなしの登り。「なんか、…今日は……アキレス腱のストレッチをしに来たみたいだね。」「でも……まだまだ。…気持ちよい鞍部を過ぎた後の最後の登りが…きついらしいよ。…」汗がしたたり落ちる。先ほどから小雨が降り出したが、そよ風とともに雨も気持ちいい。アキレス腱を伸ばしながら効率よく高度を稼ぎ、ネットに記述のあった「気持ちよい鞍部」とおぼしき場所を過ぎる。そこを渡るそよ風は本当に気持ちよかった。
さて、メインディッシュともいえる頂上手前の登りはきつかった。針葉樹(赤松)が多いせいか足下がどこもふかふかなのだ。急なのに岩も見えない。手がかりにつかまる木がグズグズに腐っていることも多く、結局四つ這いが一番安定した登り方だった。先行者の踏み跡…といっても踏んだ次には崩れるので、みんな自分が登れると思うところを各自登る。斜面と四つ這いで格闘し、もがくうちにやっと山頂に着いた。
「お腹空いた〜!」それもそのはず。もう1時近くになっていた。取りあえず山頂証拠写真を撮った後、昼食に。今夜は香港ゲストを迎えての会を新宿で予定しているから遅くなれない…ということで、下りは当初予定していた北尾根(トレイルマップの青点線)ではなく、宝越え(ヤグラ)から笹子駅に向かって船橋沢経由で下りる道を選んだ。
その道は、元々は一部送電鉄塔の巡視路である。下り初めは黒く堅いゴム製の階段。TEPCOの巡視路によくあるやつだ。両端の黒い丸い杭が飛び出てきているものが多く、雨模様の日ははあまり歩きやすくない。「もー、この杭!飛び出てるから歩きにく!…きゃっ!!」菊丸が滑った。「ほら、悪口を言ったとたんに東京電力の逆襲だ!」「みんな、東京電力さんには、感謝して歩かねば!」(笑)そうこうしているうちに雨はやみ、薄日の射す中、道沿いの小アジサイの花が涼しさを添えてくれる。それとともにエゾハルゼミの大合唱。雨が断続的に降っているときにはなりを潜めていたが、雨がやんで蝉は微妙な気圧の変化でもわかるのか、一気に鳴き出した。不思議と蝉の大合唱が始まると、雨はあがるような気がする。ホントかな?さらに道は尾根をはずれて船橋沢沿いになり、涼しさを増す。「水がきれいだよ。」顔を洗おうとした隊長のすぐ上流でタマちゃん、靴の泥を洗っていた。(笑)「おいおい。」隊長が上流に回っても、なおも念入りに洗う。「そんなに洗ってもまた汚れるからムダだぞう。」「うるさいなー。」(笑)
さらに沢沿いを何度か渡り返しながら進む。「石が滑りやすいよ。気をつけて。」と声をかけつつ「期待を裏切るなよ。(笑)」という声。先に渡った2名が滑る瞬間を撮ろうとカメラを構える。何という仲間!「そんなとこ、撮られてたまるかぁ!」とばかりに、慎重に渡る菊丸。(笑)そして間もなくバス通りに出て「まずはビール!」と、笹一酒造へ。「電車の時刻は何分だっけ?」と話したのも束の間、「3時35分に乗るんだって〜!」と伝令のタマちゃんが知らせに来た。「エーッ!? あと7分じゃん!」笹子駅までみんな走る。缶ビール7個は重いな、と思う間もなく、「持つよ。」と、副隊長。「ありがと。」そして(さすが!)と内心感動する。
35分に間に合い、走った後の旨いビールで車内宴会はもりあがる。いつもはあまり飲まないのにウッディさんは1本では足りないご様子。「これから新宿まで出てしこたま飲むんだから、車内では軽くていいんじゃない?」という意見もあったが、やはり我慢しきれずに相模湖駅の8分停車時に隊長とウッディさんが立ち上がった。買い足した酎ハイやハイボールとともに高尾で特快に乗り、三鷹駅前の朝日トレンド21(銭湯)で汗だけ流し、6時半から新宿「美禄亭」で宴会を予定通り始める。リチャードギア氏、N師範、凸さんという豪華なお客様だ。香港から一時帰国中のギア氏は、「Woodyさんの職業は材木屋さんでしょう?じゃあ僕は歯車(ギア)を扱う仕事だからリチャード・ギアをハンドルネームにしておいて。(笑)」というユーモアたっぷりの温かい紳士だ。隊長のご栄転を祝いたいと、忙しい中駆けつけてくださったN師範、宴会王凸さん、リチャードギア氏のおかげで、香港話や山の話で大笑いの宴会は盛り上がりに盛り上がった。
今回の参加者:隊長、副隊長、Woody K、タマちゃん、菊丸、クボっち、Konoちゃん
(新宿打ち上げ:リチャードギア氏、N師範、凸さん)
今回の実働時間:5時間15分
今回の累積登高差:1,001m
今回の踏破距離:8.5km
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