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井手山岳会日本支部

242回:井手山岳会日本支部登山のご報告  produced by H.Tanuma   

期日:918()19()

行き先【上州/鹿俣山(1,636.7m)&尼ヶ禿山(1,466m) 

コースタイム:
JR上越線「沼田」駅[925935](アユラシ’s Car)〜ペンション・もるげんろーて[10201045]P1[11201130]〜鹿俣山[12101305]〜ブナ平[13501400]〜センターハウス[1428]〜ペンション・もるげんろーて()[1450840](アユラシ’s Car)〜センターハウス[850]〜玉原湿原[902]〜分岐[940945]〜鉄塔[948]〜尼ヶ禿山[10101020]P2[11301135]〜白樺湿原[1142]〜迦葉山[12251255]〜和尚台[1323]〜弥勒寺[13401425](タクシー)〜地蔵温泉ゆにーいく[14551550]〜上越新幹線「上毛高原」駅[16101622]JR「大宮」駅[1715]〜いづみや本店

ルートマップはこちら     高度記録はこちら
(提供 Konochan

[1日目]
  9月の連休は、特に人気がある山を除けば比較的静か。何故ならば、花も紅葉にも時期外れなためだが、実は人が少ないところが逆に気に入っていて、例えば尾瀬も雪のシーズンを除けば9月が一番多い(っていうか、そもそも水芭蕉のシーズンには行ったことが無い)し、思いのほか「静かな尾瀬」が楽しめる。
  今回は目一杯時期外れな山として、鹿俣山と尼ヶ禿山を選んだ。どちらも、1988年発行の「藪山辿歴」(望月達夫・岡田昭夫共著、茗渓堂)という本で名前だけは知っていた。この当時、尼ヶ禿山はまだ藪山のカテゴリーに入っていたようだが(鹿俣山は既にハイキングルートが整備されていたらしい)WEB検索した限り今では立派な道が整備されているようだ。しかも、迦葉山までトレースが可能とのこと。
  これら玉原の山を目指すには日帰りではやや長丁場で、かといって1泊では寸足らずで勿体ない、というのがこれまでの感覚。ところが馬齢を重ねてくるにつれ、勿体ないというセンスがいつのまにか薄れてしまい、それもまた一興ではないか、という都合の良い考え方が受け入れられるようになってくる。そこで1泊ツアーを企画することとし、宿をWEB検索してみたが、どうも玉原にはペンションしかないらしい。特にペンションを厭う訳でもないが、柄ではないと思ってきたのでこの20数年、泊まったことが無い。結局、これも「一興」の範囲かと思い、企画を完成させた次第。地図を見ると、この辺りだけ等高線の間隔が妙にゆったりしているので、楽ちん過ぎるのではと心配になってしまうがそれもこの際「一興」だ。
  参加者は奇しくも先月の北ア/爺・針ノ木周遊ツアーと同じとなった。・・・かくして89日信濃大町駅を発車した特急あづさ号は、いつしか水上1号となって918925分に沼田駅に到着。同乗していたはずのアユラシはいつのまにか自家用車で駅前に迎えに来てくれた、・・・という感じだ。
  沼田から玉原高原までの道は云わばフルーツ街道。今はリンゴが最盛期らしい。途中、「なめこセンター」なる販売所に立ち寄る。きのこや野菜の安さに、菊丸もこのちゃんも主婦の血が騒いだようだが、それを担いで山に登ることまで決心できず、代わりにりんごを買った。
  ペンション村に到着。賑やかな季節(おそらくはスキーとラベンダーの頃)の玉原を知らないが、今は寂しい程ひと気が無い。予約した「もるげんろーて」に立ち寄り、着替えや嗜好品類をデポする。この便利さは有り難い。支度が済んだら熊鈴を付けて出発。今日の目標は鹿俣山。気温は25℃。概ね晴れだが、秋の雲が去来している。歩き始めから山毛欅の森。時々橡の実がどっさりと落ちているので、山毛欅ばかりではないことに気が付く。スキーゲレンデ東側の緩い尾根を登っていくと、一度ゲレンデに出る。眺めが良く風が吹き抜けるので一本入れるのに丁度良い。目指す鹿俣山は、南西側全体が緩斜面となっているので、スキーのゲレンデとしてはうってつけなのだろう。さらにゆるゆると登っていくと、昼食中の夫婦パーティ、さらに斜面をトラバース気味に登るようになるともう1組の夫婦パーティに遭遇した。全くの不遇の山という訳でもないようだ。分岐を過ぎてさらに反時計回りで上がってゆくとそこが鹿俣山山頂。日差しを遮る木立が無く、風も通り抜けることが無いためやけに暑い。たまたま居合わせた単独行氏にシャッター押しを依頼。ここから獅子ヶ鼻山へのルートは明瞭ではないが一応ありそうだ。ただ、笹を掻き分けて進むことになりそうで、残雪期が狙い目だろう。
  下りは「ブナ平」という場所に向かって、スキー場の西側をとる。2、3度ゲレンデを横切りつつ、やはりゆったりと下る。こちらもどこまで下っても鬱蒼と山毛欅の森。視界が開けると意外と近くに谷川岳が望め、ここが上州だったことを思い出す。そのうち、「ブナ平」の標識がある分岐に着くが、どこもかしこも山毛欅なので特段「ブナ平」らしさは感じられない。
  もう少しでセンターハウスというところで車道に出てテクテクと進んでいると、左側の森で何か重いモノが「どさっ」と落ちる音がした。距離にして100メートルたらずの感じだ。振り向いたが何も動くものはない。恐らくは、山毛欅の木の上でブナの実を夢中で食べていたクマが、我々の気配(又は熊鈴の音)に気が付くのが遅れ、こりゃマズイと慌てて樹から降りて逃げ去った、というところだろうが、人間にとっては「どさっ」で緊張と安堵が一瞬のうちに突き抜けた。
  センターハウスには、思いのほかたくさんの車が止まっている。湿原散策に来ているのかも知れない。ここにはビールもあるようだったが、ほぼ平地とは言えまだ30分近くあるらしいので、ちょっと我慢して舗装道路をさらに進む。スキー場への分岐を左に折れて真っ直ぐ進むとスキー場。シーズンオフはやけに物悲しい。ここにもペンションが2軒あって、なにやら犬が飛び出してきて吠えまくる。久しぶりの遊び相手、のつもりだろうか。そして「もるげんろーて」到着。さっそく前庭のテーブルでビールを頂く。そして部屋に移動してまた酒。いずれにしても、山小屋とは全く違った世界だが、これはこれでアリだ。夕食はダイニングルームへ。我々以外にも6組ほど宿泊客が居た。思ったより繁盛している。しかし、こんなにも自然が豊かな玉原のペンションに泊まる客で、山ヤの格好は我々だけだった。やはり立ち入ってはいけない世界に踏み込んだということだろうか(文責:副隊長)

[2日目]
  2日目は朝食を8時に食べてからアユラシ’s Carでセンターハウスに直行。ここで新潟県の実家に行くアユラシと別れを告げ、静かなる玉原湿原に踏み入る。木道沿いにウメバチソウが可憐な花を咲かせている。蝉も鳴かず、鳥の声もほとんどせず、秋の気配。風はさわやかで空気は澄んでいる。林にはいると山毛欅、山毛欅…。合間で橡の実がたくさん落ちているのも昨日と似ているが、イタヤカエデなど赤く色づく木も多く、紅葉の頃を想像しながら楽しく歩いた。足下には色々なキノコの他、赤い実(ミヤマシキミ)も目を楽しませてくれた。
  ほどなく尼ヶ禿山に到着。笠ヶ岳や至仏山、その右手には上州武尊山から玉原湖、迦葉山まで気持ちよく眺められる。でも、風がないせいか山頂は狭く暑く、早々に先に進むことにする。今日の行程は、高低差はさほどでなく、一カ所、最後の迦葉山からの急下降だけがきつい場所だが、400m下りた弥勒寺でタクシー呼んで時間短縮をはかろうという話になったので沿面距離も8kmちょっとで余裕だ。昨日の楽勝コースについて昨夜、「なんかちょっと後ろめたいような気がするな。」といっていた副隊長に、苦しくなくて静けさといい景色が楽しめるのだって「たまにはいいじゃない。」と答えたことを思い出しながら、「なんか、今日も楽勝ね。」というと、「何?このちゃん、岩が足りない?」と菊丸。「菊丸こそ、ヤブが足りない?」(笑)過酷でワイルドなバリエーションルートがいつの間にか「普通の山行」になっちゃって、私たちも「山ヤ」の端くれになったのかな〜、と貫禄付いてきた自分の登山靴を見る。
  白樺湿原と地図にある、白樺のない草原をぬけ、間もなく迦葉山に到着。山頂は狭く、南側の沼田方面の展望が開けている。平らな盆地の中、戸神山がやけに尖って見えた。昼食を摂り、本日のフィナーレの下りにかかる。弥勒寺までは今までのなだらかさが嘘のような急降下。「胎内くぐり」と名前の付いたチムニー状の大きな岩の亀裂の間を通ったり巻いたりしながら下りていく。そこを上がってきた家族のお母さんが「CMの『ファイト〜!いっぱ〜つ!!』みたいな鎖の崖ですよ。」と言っていた。鎖と岩もちょっと楽しみにしていたが個人的には昨日、ペンションの前庭で左小指を蜂に刺され、左手が大仏の手のように腫れていて力強く握ることができなかったので不安があった。結局、「ファイト〜!いっぱ〜つ!」のチムニーは通らず急傾斜を巻いていく道で下りた。その鎖場を見上げると、岩の間に祠が挟まるように祀られているのが見える。迦葉山の迦葉とは釈迦の弟子の名だそうだが、古くからの人々の信仰の深さを感じさせられた。
  400m下りるのもあっという間に感じた。すぐに弥勒寺の裏手へ到着。天狗が祀られており、広い駐車場や大きな石の観音像もあるが、一回り巡っても「肝心の自動販売機がない。」と一同がっかり。しかし呼んだタクシーが思いの外早く到着し、地蔵温泉の「ゆにーいく」でさっぱり汗を流して(もちろんビールも!)上毛高原から新幹線で大宮まで一気に帰ってきた。
  大宮まで来ればもう半分我らの縄張り。言わずもがなの「いずみや本店」にて、店のおばちゃんたちとのやりとりを楽しみながら、山の余韻を肴に呑んだ。(文責:このちゃん)

参加者:副隊長、タマちゃん、このちゃん、菊丸、アユラシ
天候:2日間を通じて概ね晴時々曇
今回の実働時間:6時間50(1日目:2時間50+2日目:4時間00)
今回の累積登高差:1,038(1日目:472+2日目:566)
今回の踏破距離:16.9km(1日目:8.7km+2日目:8.2km)

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〜 以下クリックすると大きな写真がご覧になれます 
スライドショウの開始
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第1日目 【01】今日の宿がここ、ペンション・もるげんろーて。気恥ずかしい感じがしないでもない。
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【02】さて出かけますか。どうもいつもと勝手がちがうな。
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【03】ペンション村から一歩出ると山毛欅の森。もう山毛欅から遁れることはできない。
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【04】スキーゲレンデに出た。渡る風がなんとも爽やかだ。
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【05】鹿俣山頂直下から見下ろす玉原高原。
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【06】山頂は日差しを遮るもの無し。風も無いので暑い。
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【07】下り始めるとまたゲレンデに出る。
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【08】それほど遠目が利く天気でも無いが、谷川連峰が見えた。
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【09】あれが明日登る予定の尼ヶ禿山。もとより大した高みではない。
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【10】度々ゲレンデを横切る。雪があるときではこうはいかない。
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【11】とにかく山毛欅好きにはたまらない。新緑と紅葉の季節にも興味が湧いてくる。
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【12】ミゾソバ(タデ科)別名ウシノヒタイとも言うそうだ。
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【13】ブナ平にて。座り心地が良さそうな山毛欅の木があったので。
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【14】このちゃんも座ってみた。
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【15】車道をペンション目指して足どり軽く帰る。流石に実働3時間ではちょっと物足りなかったか。
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【16】先ずはペンションの前庭で乾杯。山小屋と同程度の料金でこれ!
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【17】部屋に移動して飲み続ける。山小屋と同程度の料金でこれ!
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【18】今宵のディナー。山小屋と同程度の料金でこれ!(しつこい)
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第2日目 【19】翌朝。ちょっとカメラのアングル低すぎた。ん?奥に見えるクルマは・・・?
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【20】アユラシの愛車。今日は登りません状態のアユラシ。
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【21】玉原湿原。ここで観光客アユラシとはお別れ。
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【22】ウメバチソウが可憐。
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【23】ここが玉原湿原。さすがに紅葉には早いようだ。
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【25】夏はさぞや喧騒だろうが、今は寂しいくらいだ。
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【26】山毛欅の森にはキノコがいっぱい。
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【27】「朝日の森ロッジ」って、・・・?
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【28】尼ヶ禿山に到着。ここもなんだかやけに暑い。
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【29】上州武尊山が近い。
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【30】玉原湖。
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【31】鋭角のピークが笠ヶ岳か。尾瀬周辺の山が見えているようだ。
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【32】正面がこれから目指す迦葉山。その奥のシルエットは赤城山。
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【33】白樺湿原と称されているようだが、シラカバが見あたらない。
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【34】迦葉山到着。沼田の市街地が見下ろせる。トンガリ山が戸神山か。
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【35】山頂は狭い。
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【36】弥勒寺まで急降下。
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【37】こんなところをくぐる。
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【38】和尚台はこの上らしい。祠が岩の間に挟まっている。信仰のチカラを感じざるを得ない。
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【39】弥勒寺に到着。古刹らしいが勉強不足で・・・。それにしても、自動販売機ひとつ無い!