番外編  気ままなハイキングのご報告(その7*笠取山)
笠取山報告レポート(By クボッチ)(2010年10月23日(土))

秋も中盤。紅葉を求めて2000m近い山へ。ということで笠取山に出かけた。7時に調布駅で皆さんをピックアップし中央道へ。紅葉渋滞25キロ。30分前にはまだ9kmだったのに、あっという間の渋滞。あと30分早く集合すればよかったという後悔先に立たず。予定より1時間多くかかって、作場平橋登山口に到着したのは10時過ぎ。
  作場平橋登山口からヤブ沢峠へ。峠までの道はなだらかで、紅葉をのんびり味わうには最適の道。ヤブ沢峠で休憩。道にはドングリがいっぱい。ドングリ不足で今年はクマが里に下りるニュースが多く報じられているので、ドングリを求めてクマが来るのではと心配になる。峠から笠取山荘までの道は横に並んで歩ける広さがあり、遠足気分で歩いていると、突然後ろから車の音。笠取山荘に向かう軽自動車がやって来てびっくり。この広さは車道ということだったんですか。
  笠取山荘の前には眺めの良い広場があり、目の前には富士山が見える。新しい丸太のテーブルが3つもあり、ここに泊って夕暮れの富士を肴に宴会をしたくなった。山荘の横には、ログハウス風のきれいなトイレもあり、本当によく整備されている山だ。
  小屋からの道もなだらかな上に、笹原が広がり雄大だ。15分で「小さな分水嶺」に着く。ここの眺めが素晴らしかった。まだ頂上ではないのに、頂上に着いたような満足感になり、長居してしまった。この分水嶺は、東に多摩川、西に富士川、北に荒川と水を分ける。ほんの少し右に降るか左に降るかで、自分が流れる川が大きく異なる。その運命に文句も言わず、ただ悠々と流れていく川。人も、この一滴の雨粒から学ばねば・・・などと哲学的なことを考えながら(?)いよいよ頂上を目指す。
  ここまでの道は、すべて緩やかで広々だったので、今日は一日中遠足気分かと思っていたら、最後に急登が用意されていた。急登は、たいていジグザグに道が切ってあるものだが、ここの登りは一直線に近い。スキー場のリフト道のようだ。登り応え十分。「各自のペースで行こう」ということになった途端、アユラシが颯爽と登り始め1着でゴール。行きの車の中で、「楽な山のほうがいい。今日は何ならこのまま温泉だけでもいいんだけど。」などと言っていた人と同一人物とは思えなかった。アユラシ、ホントはハードがお好きでしょ?分水嶺の雄大さで達成感を味わい、急登でまた達成感が味わえる。笠取山は、一粒で二度おいしい。
  急登直前の最低コル部に着いた時、頂上までの標高差を目で見て当てっこすることにした。100m前後ありそうだが、はたしてどこまで正確に目だけで標高差を当てられるのか・・・井手山岳会のメンバー達よ。結果GPSでの実測測定によると標高差は114m。110mと予想したタマちゃん&クボッチが最も近かった。4m差です。ほめてください隊長、副隊長。
  頂上には山梨百名山の標識があった。ここでたっぷりと時間をとり昼食タイム。このちゃん手作りのシフォンケーキ(保冷剤で冷やした生クリーム付き!)とタマちゃんのコーヒーで、山のてっぺんとは思えない食事を終え山頂を後にした。
  ここから水干経由で下山。道はもう遠足気分ではなく、岩もある登山道になる。先ほどの山百の頂上が山頂と思っていたら、2度の小さなアップダウンの先にもう一つの山頂があった。ここが地図にある1953m地点だった。そこをさらに進んだあと、笹に覆われた少し分かりにくい急坂を下りていくと、水干に行く広い登山道に出た。多摩川の最初の一滴の生まれる場所を見ることができ、今日のもう一つの目的を達成して大満足。一粒で三度おいしい山だった。
  笠取山からは一休坂経由で下山。登山道脇を流れる沢の透明度が涼しげで、夏に来てもいい山に違いない。行きのコースに比べると、帰りのコースの方がやや急で、山道らしさがある。下山後は大菩薩の湯で1次会(ノンアルコールビールも結構味のいいものがあります)。その後、みんなとは塩山駅で別れ、みんなは立川のカラオケへ。タマちゃんの一曲目が、この日車の中でずっと聞いていた“明菜”だったことは想像に難くない。私は一人中央道をひた走り、中房温泉登山口で明日の有明山登山に備えるのだった。(有明山に続く)

*山行付記:作場平登山口に戻った時はもう半分自宅に帰り着いたような気分だった。運転手のクボッチにはアルコールも控えて運転に集中してもらう…のは申し訳ないけれど、我々は大喜び。車のメリットは、@登山口まで登って高度差を稼げる。A入浴用品など、山にいらないものは置いていける。B入浴施設が遠くてもドアtoドア。Cクーラーboxで持参すれば、下山したとたんに飲める。「いや〜、こんなの初めて。病みつきになっちゃうな〜〜!」久しぶりの参加で体力もつかな〜と心配していた凸さん、1時間半の登りで絶景が楽しめた上、マイカー送迎付きの楽チンさに感動の声。帰り道、カーステレオから流れる中森明菜に青春が甦り、大菩薩の湯に着いて入浴と1次会。あとはクボッチの記述通り…幸せな一日だった。(Konochan)

有明山報告レポート(By クボッチ)2010年10月24日(日)
(笠取山からの続き)
  6時半出発。有明山登山口は、有明荘の裏にある。が、駐車場の様子からも登山者カードからも人が登っている気配がない。あんなに車が止まっているのに、みな燕に向かったようだ。すると、ようやく二人連れが現れ登山口に入っていった。“誰かしらいる”と“誰もいない”はやはり心細さが違うものだ。クマが出るかもしれない山ということで、この日はずっとクマ鈴を鳴らしながら歩いた。
  初めは、笹道の急登。登山口からほどなく二人に追いつき抜いたため、今日の一番乗りとなる。さて、ここでクイズ。なぜ、二人抜いただけで、今日の一番乗りとわかるのでしょう?いつも先頭を歩いている副隊長さんはすぐにわかったと思いますが、答えは、誰にも切られていないクモの巣がやたら顔に引っ掛かるから。先頭の宿命です。
  それにしても、有明山は聞いていた通り、最初から尾根までほぼ全区間が急登の連続だった。一気に登って一気に下れる山が好きな私にとってはもってこいの山だ(しかしきつい山だった)。急登箇所には、ほぼトラロープが張ってある。あまりのロープの多さに、いったいこのロープ、全部つなぐと何百mになるのだろうと思ってしまうほどだった。
  4合目の石標あたりからは、シャクナゲの木がいたるところに現れる。6月に来たらさぞ美しいに違いない。登山口から1時間半ほど登ると、ネットによく出ている鎖場になる。それらの写真を見ると、急な斜面に鎖がかかっていて、よほどすごい岩場なのだろうと思ってしまう。行って分かったが、実は足元にボルトが打ってあり心配はない。ほかにも、ここは…と思うところには、足場やロープ、鎖がしっかりつけられていて、安全に登ることができる。問題は、急登のみだ。
  尾根の8合目の石標まで来れば、山頂はあと一息。登山口から2時間20分で頂上に着いた。頂上からは、すぐ目の前に燕岳。北に目をやれば火打・妙高。そして南を見ると富士山がくっきりと姿を見せてくれていた。有明山には三つの山頂がある。北岳には鳥居と祠、途中三角点があり、中岳にも祠があった。そして、ここを南岳の奥社と勘違いしてしまい、今回はここで引き返してしまった。山頂で40分ほど過ごした後下山開始。帰りは、次から次に現れるロープを使って、スイスイ滑るように下りることができ、1時間20分で下山できた。ロープさまさまだった。唯一不安になったのは笹道での音。立ち止まると、奥でガザガザという音がよくしていた。まさか、クマ?いやいやきっとテンかイタチかサルかシカだろう(と自分に言い聞かせる)。下山途中、もうひと組別の登山者とすれ違ったので、結局この日の登山者は、私を含めて3組だけだった。静かな山を楽しめた。
  下山後は、有明荘の露天風呂でくつろぎ、12時に中房温泉出発。帰り道、林道を一人で歩いてた夏ちゃんという女性を車に乗せた。聞けば私と同じ東京の人。一人でここまで旅してくるとは、今に私のようになるかもしれない。夏ちゃんを穂高駅で降ろした後は、一路東京へ。時間が早かったので渋滞にも大して巻き込まれず4時には自宅でビールにありついたのだった。

〜 以下クリックすると大きな写真がご覧になれます 

スライドショウの開始
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【1】若干の渋滞の後、作場平橋駐車場に到着。10時半に出発。
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【2】駐車場すぐそばに笠取山登山口。
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【3】整備された登山道。静かだ。黄葉した落葉松の葉がはらり…はらり…と音もなく落ちてくる。
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【4】一休坂の手前で。紅葉が美しい。
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【5】笹原の上は広葉樹林。
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【6】足下を流れる小川の水は澄んでいる。この道は夏も涼しいだろう。
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【7】半袖の凸さんを初め、みんな快調。
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【8】ヤブ沢峠に到着。一本入れる。
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【9】秋に花盛りの桃色の花。
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【10】笠取小屋に到着。
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【11】笠取小屋から見た大菩薩嶺。ここに泊まって呑みたいものだ。
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【12】小屋周辺の落葉松が青空に映えて。
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【13】小屋から少し上がるとこんなに空の広い場所。
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【14】振り返れば落葉松林の上に見事な富士が。
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【15】小さな分水嶺。タマちゃん側に降った雨は多摩川へ、凸さん側に降った雨は富士川に流れる!
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【16】私の上半身は荒川、右足多摩川、左足富士川よ。
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【17】金峰山までよく見渡せる。
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【18】分水嶺を後にして、笠取山頂へ。
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【19】何度も振り返っては富士山の雄姿に見入ってしまう。
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【20】おいでよ!こっから見える笠取山頂、すごいよ。と呼ぶ凸さんに追いつくと…ホント、すごいね。直登だ。
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【21】コルからピークまでの高度差を賭けした。89m〜120mまで様々。
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【22】ピークが見えると俄然スピードアップのアユラシとクボッチ。
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【23】続くタマちゃんと凸さん。
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【24】山頂に到着。高度差は114mで賭けに勝ったのはタマちゃんとクボッチ。
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【25】富士山と大菩薩嶺。その手前は黒川鶏冠山。
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【26】この景色を見ながら贅沢な昼食。
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【27】東にある1953mのピークにて。周りは痩せ尾根。
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【28】山頂からの展望。今日は一日富士山を楽しめた。
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【29】水干への分岐まで笹原を下る。
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【30】分岐点。
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【31】ここが水干。多摩川の最初の一滴が流れ出すところだ。
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【32】ここから彼方小菅、奥多摩湖、青梅や立川を経て東京湾まで流れるのかぁ。記念に写真を撮るメンバー。
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【33】東京湾まで138kmだって。
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【34】下りのルートはやや短くて急勾配。
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【35】作場平駐車場に到着。ここから「大菩薩の湯」に直行とはなんと楽チン。
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10月24日(日)
北アルプス有明山レポート
【1】有明荘裏の登山口。
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【2】急斜面の鎖場を巻く。
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【3】火打・妙高と穂高の町。
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【4】解説無用の山。右の尖ったピークが甲斐駒ヶ岳。
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【5】中岳の祠。
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【6】たる沢の滝経由で駐車場へ戻る。
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【7】下山口。ここで一泊。
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【8】紅葉真っ盛り。
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【9】有明荘。
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【10】有明山を振り返る。