第293回:井手山岳会日本支部登山のご報告 行き先【奥秩父/熊倉山(1426.5m)】 コースタイム: 池袋駅[7:05]〜白久駅[9:15]〜出発[9:25]〜林道コース登山口[9:48]〜城山コース登山口[10:20]〜城山コースNo.9標識[11:20]〜休憩[12:20]〜熊倉山頂[13:07]〜昼食〜出発[13:40]〜城山コース登山口[15:15]〜谷津川館温泉[16:00]〜白久駅着[16:17]〜白久駅発[16:27]〜西武秩父駅[16:44]〜クラブ湯(銭湯)〜お蕎麦屋さん「大村本店」[17:30] 〜西武秩父駅[19:25] (レッドアロー号)〜池袋駅[20:45] 今日は連休初日。人出が多そうだが、そこは引き出しを無数に持っている副隊長のこと、奥深い秩父の静かな山歩きを企画してくれた。しかも、アカヤシオ、温泉、お蕎麦と盛りだくさんで、楽しみな一日が始まる。 ガールズ3名は池袋駅集合。待ち合わせは先頭車両だが、前4両が長瀞行き、後ろ4両が三峰口行きと分かれている。切り離す方の車両に乗ったりして、今までだいぶ学習してきたので、今日はちゃんと前から5両目に乗車する。いつものように、ガールズトークで時間はあっという間に過ぎて行く。所沢から乗ってくる副隊長と所沢駅で会えなかったが、同じ電車には乗っているらしい。飯能駅を発車後、ふと気付くと電車が逆方向に動いている。先頭車両に乗ったつもりが、結局は最後尾車両だった。乗り慣れない電車は難しい。切り離しを行う横瀬駅で、副隊長と最後尾車両にて無事合流する。 さすがにGWで電車は混んでいたが、白久駅で降りる人は数えるほど。秩父鉄道はSuicaが使えないので、改札口で1180円払う。駅から登山口までは舗装道路を歩く。歩き始めてすぐに、数匹の猿の群れが道路を横切って行くのに出会った。いつもの通い慣れた道という感じで、涼しい顔をして走り去って行った。こんな人里近くに出没するとは・・・。15分くらい歩いた頃、温泉谷津川館の大きな看板が誘惑するように立っていた。右手の坂を登って行けば温泉、ふらっと右に行きたくなった。いやいや私たちは左の道だ。現在通行止めの林道コース登山口を見送り、さらに30分弱林道を歩く。「熊倉山は手強い山」と話に聞いているが、城山コース登山口に着いた時点で、すでに手強さを実感している。 登り始めは急斜面だが、道がつづら折りになっているので、案外登りやすい。カタクリの花がまだ数輪咲いていた。地道につづら折りで高度を稼いで行くと、周りの山々がだんだん低く見えてくる。いつの間にか足元がやせ尾根になった頃、優しいピンク色が目を惹く。青い空をバックに、アカヤシオのまあるい花びらが風に揺れている。私は初めて見るアカヤシオ、色も形も愛らしい花だ。ついついアカヤシオに惹かれて、尾根の上ではなく右の巻き道を進む。足を踏み出してみると、右側が切れ落ちている道だった。足を踏み外したら・・・と思うと、ゾクッとする。スリル満点だ。やはり手強いぞ、熊倉山!本来の道に戻った頃、イワウチワの花を2輪だけ見つけた。うつむき加減に咲く、清楚な姿が微笑ましい。 やせ尾根が終わると山頂まではあとひと登りだが、壁のような急斜面が目の前に立ちはだかっている。変化に富んだコースで飽きることはないが、登山口からすでに約2時間半経過し、登りでのある山だ。登るのが大変そうに見えた最後の急斜面だが、意外にも足を置く場所がうまい具合にあって、どんどん高度を稼げる。熊倉山頂に到着。すっかり錆付いて、赤茶けた山頂標識が静かに私たちを迎えてくれる。山頂の眺望は全くないが、奥秩父の幽玄な雰囲気を楽しめる。 山頂を踏んだ後は、温泉が待っている。最短距離の道、登りと同じ道を戻ることにする。一度歩いた道は何となく安心感がある。帰りのやせ尾根の道では崖っぷちを避けて、尾根を下りる。登りで通り過ぎてしまった場所からの眺めが、結局今日一番の眺望だった。手前のアカヤシオが彩りを添える中、遠くの山々まで何重にも連なって、くっきりと見えている。両神山のギザギザの塊が、圧倒的な存在感を持って聳えている。 登りのつづら折りはありがたいものだが、下りは飽きてきてうんざりしてくる。まだまだ手強いぞ、熊倉山!谷津川館に4時に到着。ところが、今日は宿泊客で満室なので、日帰り湯は3時まで、とのこと。百余年の歴史のある温泉で、見るからに情緒のある立派な建物だ。温泉に入れないのは本当に残念だ。副隊長がたくさんの持ち札の中から、早速次のカードを出してくれる。お花畑駅近くの銭湯へ向かって、気を取り直して出発する。運良く白久駅前に、ビールを売っているお店を発見。ビール一缶飲むうちに西武秩父駅に着く。目指す銭湯は、番台があるようなレトロな銭湯なのに、なぜか「クラブ湯」という微妙にハイカラな名前だ。お湯の蛇口は温度調節がない仕組みで、かなり熱いお湯が出てくる。いざ湯船に足先を入れたら、熱すぎて思わず足を引っ込めてしまった。背中にお水を浴びながら、どうにか肩まで浸かるが、私は1分も我慢できずに飛び出した。くまちゃん、ひろちゃんは頑張って、しっかり浸かっている。 熱いお湯に入ったので、お風呂から出た頃にはアルコールがすっかり吹き飛び、すっきりした気分だ。お風呂屋さんから出て、回れ右すれば、すぐそこにお蕎麦屋さん「大村本店」がある。素晴らしい立地条件だ。天ぷら、板わさ、ゲソ揚げ、焼き味噌などを注文する。しゃもじに載せてあぶってある、ソバの実入りの味噌がなんとも香ばしい。秩父路の銘酒「武甲正宗」の冷酒との相性が抜群だ。焼き味噌があまりにも美味しくて、2回も追加注文してしまった。名残惜しいが、19時25分のレッドアロー号に乗ると心を決め、最後に締めの盛りそばを頼む。火照った体には、冷たいお蕎麦ののどごしがツルツルっと心地良い。私としては大発見だった!お蕎麦屋さんのおつまみとお酒がこんなに美味しくて、さらに飲んだ後のお蕎麦がこんなに美味しいなんて・・・。うーん、病みつきになりそうだ。今日もまた新たな扉を開いてしまったようだ。 予定通り特急レッドアロー号に乗り込む。特急券620円にしてはゴージャスな乗り心地だし、1時間20分で池袋に着くのはありがたい。今日は変化に富んだ山、可愛らしいアカヤシオ、レトロな銭湯、美味な焼き味噌と盛りだくさんで、超ごきげんな一日だった。 (by なお) 今回の実働時間:4時間30分 今回の累積登高差: 今回の踏破距離: |
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