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「いぃDay!」山岳会日本支部   


第393回:いぃDay!山岳会日本支部登山のご報告  

2015年7月4日()〜7月5日(

行き先【奥秩父/笠取山(1953m)

コースタイム:
1日目〉JR高尾駅[8:01](甲府行)〜塩山駅[9:15/9:25]〜タクシー〜作場平橋[10:11/10:18]〜一休坂分岐・休憩[10:52/10:56]〜休憩[11:43/11:47]〜笠取小屋[12:20/昼食/テント設営/13:03]〜雁峠分岐[13:09]〜分水嶺[13:11]〜笠取山西分岐[13:18]〜笠取山西の山頂[13:38]〜東の山頂[13:53]〜水干[14:12]〜分水嶺[14:33]〜笠取小屋[14:40]

2日目〉起床[4:00]〜朝食、片付け〜出発[5:25]〜休憩[6:10/6:17]〜〜石保戸山登り口[6:55]〜休憩[7:00/7:05]〜指入峠・林道に出る[7:30]〜休憩[8:00/8:06]〜新犬切峠・ゲート[8:16]〜落合BS[9:13/10:00]〜塩山温泉入口BS[10:55]〜宏池荘[10:58/11:35]〜七福[11:55/12:55]JR塩山駅[13:06]〜高尾駅[14:21/14:42]〜立川駅[14:43]

トレイルマップ
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高度記録
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「テント泊したいなぁ。新品のテントをまだ一度も使っていないんだよなぁ。」という副隊長のつぶやきを耳にしたのは、もうかれこれ2年くらい前だろうか?「わぁ〜、面白そう!テント一張では足りないでしょう?」と、私もテントを早々に購入して待っていた、この日が来るのを!ただ参加者3人なので、私のテントは次回の出番を待つこととなった。

梅雨の真っただ中、さすがに天気予報も雲に傘のマーク。シュラフ、食糧などを詰め込んだ、いつもより重いリュックが肩に食い込むが、初めてのテント泊にウキウキと家を出る。高尾駅から甲府行きの電車に乗り込んだが、登山客はほとんどいない。塩山駅から予約していたタクシーの運転手さんが木で完熟した桃を1個ずつくれた。乗車前に早速いただいたが、ジューシーで甘くて美味しかった。

標高1310mの作場平橋までタクシーで上がったが、標高1802mの笠取小屋まで約500m、重い荷物を担いで上がらなければならない。よく整備された緩やかな登山道をゆるゆると登って行く。歩き始めて間もなく、まだ斑点の残る小鹿が道で我々を出迎えてくれた。人馴れしているのか、動じる様子もなく草を食べ続けている。そう言えば、さっきタクシーで来る時にも雌雄2頭の鹿に遭遇したが、逃げる様子がなかった。

単調な道がずっと続いているが、鳥のさえずり、エゾハルゼミの声に耳を傾けながら、時には針葉樹林帯を通り抜け、時には広葉樹林帯の中を進み、時には笹を眺めながら歩く。案外退屈しない道だ。季節は夏へと巡り、もうすっかり深い緑色となった樹林帯の中を歩く。その中で時折マタタビの白い葉とミヤママタタビのピンクの葉が目を惹く。

約2時間ほどで笠取小屋に到着。女性二人組がベンチで食事をしていた。では我々もまず食事をと、お湯を沸かして食べ始めた所で空から雨がぽつぽつ落ちてきた。慌ててテントの設営に取り掛かる。テントを張る作業自体も何だかワクワクして楽しい!小屋のご主人が解放小屋の方(宿泊小屋と2棟あり)の扉を開けて、「どうぞ昼食に使ってください」と親切に言ってくださる。

荷物をテントの中にデポし、レインウェアを着てから笠取山へ向かう。途中に三つの河川の分水嶺となる小さな峰があった。東側に降った雨は荒川、西側の雨は支流の笛吹川を経て富士川、南側の雨は多摩川の流れとなるそうである。分水嶺ではほんの少ししか離れていない場所に落ちた雨水も、行く先が大きく変わるのだ。

分水嶺を過ぎると間もなく笠取山山頂らしきものが目前に現れた。草原で牧歌的な雰囲気を醸しているが、かなりの急勾配である。着実に一歩一歩稼いで行く。こちらは山梨県の山頂だそうだが標識には気付かなかった。あいにくガスっていて、近くの山々が薄ぼんやり見えるだけだ。標高点の東山頂(埼玉県の山頂)へ向かうと、急に岩っぽくなったと思ったら次には両脇にシャクナゲが続き、さらにはクマザサの道となる。見えていた斜面からは思いもよらなかったが、変化に富んでいて面白い。東の山頂標識を確認して、さっさと水干へ向かう。

雨が降っていたので、枝や斜面を伝って来た雫が岩に掘られた窪み(水干祠の跡)に、一滴どころかポタポタ落ちている。ここは沢の行き止まりの意味で「水干」と名付けられていて、この一滴が多摩川の始まりだそうだ。この水は一旦土中にしみ込んで、60mほど下で湧水として顔を出し、多摩川の最初の流れとなるそうである。この一しずくから多摩川が始まるかと思うと、感慨深いものがある。

笠取小屋に戻り、まず数分下った所の沢まで水を汲みに行く。酔っぱらったらもう水は汲みに行けないだろう。再び小屋に戻ると、ご主人が解放小屋のストーブを点けて、「濡れた物を乾かしてください」と言ってくださる。着て乾かすのが原則と副隊長に教わるが、ここはありがたく濡れた物を乾かしながらビールで乾杯、続いて持参の日本酒へと進む。一段落した後はテントに引き上げ、テントの鉄則を副隊長から教えてもらう。1.テント内は濡らさない。2.テント内で自分の位置を決めたらなるべく動かない。3.移動する時には声を掛ける。4.手じかな人を使う(手の届かない物を取りたいなど)。5.動作する時には必ず誰かがコッヘルの取っ手を持つ。

そして、いよいよお楽しみのすき焼きタイムだ。テント内の狭い空間での煮炊きはおままごとをしているようである。副隊長が奮発して買ってきてくれた牛肉が柔らかくて美味しいこと!山の上で食べるすき焼きは格別である。今まで食べた中で一番美味しかったと言っても過言ではない。まったりしながら食後のお酒も楽しむ。食事の後始末をした後は自分の座っていた位置の近くにシュラフを広げ、シュラフに潜り込む。テントに落ちる、規則正しい雨音はちょっと音が大きいが、子守唄と思うことにしよう。

翌朝は鳥のさえずりを聞きながら、3時55分に目覚めた。雨音はだいぶ小さくなっている。起きたらシュラフを適当に丸めて座布団にして、まず朝食。残ったすき焼きの汁にご飯を入れ、少し煮込んで食べる。ご飯に味が染みて、これまたいける。(次回はうどんを持って来よう。)それにパンとスープの朝食を終え、雨が上がっているうちに手早くテントを片付ける。目の前に大菩薩嶺のすっきりした姿が見えた。鹿の大きな鳴き声が聞こえてきた。ひろちゃんによると、小屋のご主人がパン屑のようなものを鹿にあげていたそうだ。あの声は餌を催促するものだったのだろうか?

下りはほとんど平らに思えるような道をひたすら歩く。すき焼きやテント泊などイベントがすべて終わってしまったので、意気が上がらずただただ荷物がずっしり肩にのしかかって来るだけである。所々に防火帯が作られていて、必ずマルバダケブキが群生していた。途中石保戸山に直接登る道が見当たらなくて、巻き道を進むしかなかった。回り込んだ所に登る道があったが、落合バス停10時発のバスに乗り遅れる訳にはいかないので、石保戸山は諦めて先へと淡々と下る。

指入峠で林道に出た後は再び登山道に入るのもありだったが、平らな林道を選び、とにかくひたすら歩く。となるとそろそろ考える事は一つ・・。往きのタクシーで通り過ぎた際に落合バス停に店が1軒あったと、副隊長が言うので(ちゃんとチェック済みなのがすごい!)、淡い期待を持ちながら歩く。余裕の時間でバス停に着く。ありました〜!酒屋さんが1軒。朝9時から営業しているかな?と恐る恐る扉を開けると、おかみさんが出てきた。近くの釣り堀の遊漁券を販売しているおかげかもしれない。ここでもまた桃を1個ずついただいた。

ガラガラのバスに乗り、塩山温泉入り口バス停で下車、宏池荘に11時数分前に到着。なんと午前は11時までだそうだが、おやじさんが「どうぞ、どうぞ!」と言ってくださったので、「ここの温泉大好きなんです!ありがとう!」とお礼を言ったら、逆に桃を2個ずつくれた。山梨は本当に良いところだ〜。

ぬるい源泉と熱いお湯とに交互に入り、すっきりした後は元気を取り戻し、塩山の街へと繰り出すのであった、桃のお土産をしっかりリュックに詰めて。非現実の世界を十二分に楽しんだ2日間であった。また次回のテント泊が楽しみである。私のテントもデビューを静かに待っている!  (by なお) 

今回の参加者:副隊長、ひろちゃん、なおちゃん
実働時間:〈1日目〉3時間30分、〈2日目〉3時間30分
累積登高差(+)
踏破距離:〈1日目〉9.8km 〈2日目〉13.0km
 

☆ 山から下りたらこんな店 Check!
☆ 日帰り温泉はこんな所  Check!
☆ 打ち上げはこんな店  Check!
☆ 打ち上げ第二弾はこんな店 Check!


〜 以下クリックすると大きな写真がご覧になれます 〜 

スライドショウの開始
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01 作場平から、いざ出発。
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02 現在地はここ。
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03 立派なトイレもある。
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04 リュックサックはずっしりくるね。
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05 静かな森。
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06 多摩川の源流、一之瀬川。
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07 空気はひんやりしているのでまずまず快適。
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08 このまま雨が降らずにいてくれれば良いが。
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09 笹の花だ。
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10 この辺りは全部、びっしり蕾。
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11 おやっ?
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12 鹿だ。しかも子鹿のようだ。
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13 全然逃げようとしない。
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14 笹の葉っぱを齧っているようだ。
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15 この先が一休坂。
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16 ちょっと小休止。
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17 この先も緩やかな道だ。
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18 道標にこんなことをする奴は、きっとあいつだ。
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19 登り易い道。
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20 カエデが多い。
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21 再び笹。
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22 ここまで来た。
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23 マタタビの木。
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24 落葉松林。
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25 急ぐ必要もないので小休止。
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26 沢沿いの道。
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27 源流近くでも流れは穏やか。
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28 これは立派なマタタビ。
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29 おや、ピンク色。
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30 クリンソウだ。
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31 ここが小屋の水場。
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32 シロバナノヘビイチゴかな。
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33 随分と丁寧なつづら折りの道。
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34 笠取小屋、到着。
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35 先ずは腹ごしらえ。
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36 テントはここに張ろうか。
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37 設営完了。
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38 背中の荷物が引っかかってるけど・・・
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39 バイオトイレ。とてもきれい。
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40 この小さなピークは、3つの川の分水嶺。
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41 この石に、富士川、荒川、多摩川と刻まれている。
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42 3つの川の分水嶺は、当然、ここだけ。
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43 ピークそのものは到って平凡。
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44 防火帯を登る。
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45 笠取山の上部はガスの中。
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46 天気が良ければ・・・
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47 だんだん勾配がきつくなる。
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48 道は巧みにうねっているので登り易い。
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49 だいぶ登ってきた。
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50 笠取山西峰に到着。
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51 眺めはさっぱり。
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52 でも、雰囲気は悪くない。
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53 まだ石楠花が残っていた。
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54 本峰(東峰)に到着。ここは全く眺めなし。
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55 でも一応、証拠写真。
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56 シロヤシオの幼木が岩にへばり付いている。
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57 水干尾根とあるが、何処が尾根なのか判らない。
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58 あそこが水干のようだ。
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59 多摩川はここから始まる。
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60 記念撮影。
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61 138kmあるそうだ。
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62 ブナの森は雨に良く合う。
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63 古礼山方面は良く見えない。
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64 奥秩父主脈縦走路は、ここで屈曲している。
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65 笠取小屋の主人のご厚意で、別棟のストーブで温まる。
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66 濡れたものもすっかり乾いた。
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67 これ、自筆ですかね。
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68 テントの中に入り・・・
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69 ちょっと一杯、いい気分。
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70 さて、すき焼き。
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71 生卵もちゃんと準備。
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72 ソーラーバッテリーカンテラ活躍。
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73 闇に浮かぶテント。
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74 そろそろ寝る支度。
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75 朝。
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76 見えているのは大菩薩。
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77 また来る日まで。
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78 朝から雨。
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79 ヤブ沢峠。
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80 木の幹を傷つける奴と云えば・・・
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81 車も通れる道を南へ。
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82 この辺りはマルバダケブキだらけ。
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83 ぬかるんで歩き難い。
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84 こんな砂地もある。
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85 見上げるとこんな景色。
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86 緑が濃い。
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87 石保戸山に登ろうとしたが、時間を考え止めた。
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88 道標を初めて見た。
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89 また落葉松林。
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90 新犬切峠目指して、林道を進む。
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91 雨が上がってきた。
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92 フタリシズカ。
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93 もう林道歩きは飽きてきた。
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94 立派なウツギ。
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95 民宿村なんてあったっけ?
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96 沢で靴を洗う。
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97 落合BS、到着。あれ、酒屋かな?
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98 田辺屋商店で首尾よくビールをゲット。
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99 奥は旅館のようだ。
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100 田辺屋商店の番犬。
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101 落合BSの前に、立派な東京都の事務所。
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102 ここで汗を流した。
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103 塩山駅前のここでほうとう、喰いました。
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104 帰りの車内。
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105 ちょっとだけ、立川で。

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