Welcome to our Web Site ! 「いぃDay!」山岳会日本支部 第397回:いぃDay!山岳会日本支部登山のご報告 2015年8月1日(土)〜3日(月) 行き先【北アルプス/龍王岳(2872m)/奥大日岳(2605.9m)・剱御前山(2792m) 2日目/雷鳥沢ヒュッテ[4:05]→稜線[4:47/4:52]→P1[5:45/5:50]→奥大日岳[6:30/6:37]→P2[7:40/7:45]→P3[8:30/8:35]→剱御前小舎[9:50]〜東の高み[9:53/9:58]〜剱御前山[10:00/10:08]〜剱御前小舎[10:10]→称名川河原[11:18/11:25]→みくりが池温泉[12:10] 3日目/みくりが池温泉→(徒歩10分)→室堂BS⇒(トロリーバス10分)⇒大観峰⇒(ロープウェイ7分)⇒黒部平⇒(ケーブルカー5分)⇒黒部湖→(徒歩&観光)→黒四ダム→黒部ダムBT⇒(トロリーバス16分)⇒扇沢BT⇒(タクシー)⇒JR信濃大町駅⇒松本⇒JR新宿駅
〈1日目〉 アユラシ負傷(左ふくらはぎ肉ばなれ)のニュースを聞き、「剱岳は来年に延期。」と、誰もが思った。剱岳山行を初めに提案したのはアユラシで、その本人が行けないのなら当然でしょう。でも、せっかくみくりが池温泉などの宿は押さえてあるので、それを活かして残りのメンバーで立山周辺の山に登ることになった。1日目の宿はアクセスを考えて剱澤小屋でなく、雷鳥沢ヒュッテに取り直してもらった。 北陸新幹線で富山に降り立った。初めて目にする富山の町の印象は黒と白。黒い屋根瓦に漆喰の壁、そして各家ごとに屋敷森のある、落ち着いた歴史を感じさせる街並みである。JR富山駅から富山地方鉄道立山線の電鉄富山駅まで少し歩き、乗り換えて終点の立山まで行く。 鉄道好きの副隊長は何気なくパチパチと車両の写真をカメラに収めている。発車した「特急」は、ゴトンゴトンという線路と車輪の音がゆったりと響き、一昔前の汽車旅のような情緒がある。「有峰口」駅で、副隊長が「ここから薬師の登山口に行くバスが出ているんだ。」と言った。「どこから登るの?」「折立。」「ああ、黒部五郎岳の登山口でもある折立ね。」学生のころ、副隊長とヤマショウビン氏はテントを担いで薬師から雲の平、水晶岳(黒岳)を経由して読売新道を通り、黒部ダムまで歩いたそうだ。いつか私も歩いてみたい道だ。 さて、立山駅からは扇沢まで「立山黒部アルペンルート」のチケット(9490円)を買った。「荷揚げ用台車」を後ろに連結したケーブルカーで美女平に行き、そこから高原バスで1時間、室堂を目指す。 室堂は、立山連峰とその懐に池やお花畑を抱いた天上の楽園ともいえる場所だった。抜けるような青空をバックにそびえる立山連峰は「神々しい」という言葉がぴったりだ。 不要な荷物をコインロッカーに預け、一ノ瀬に向かって歩き出す。舗装された石畳の観光道は、登山道より歩きにくい。河原の石の上を渡り歩くように石の丸みに土踏まずを乗せて、岩ごろごろのワイルドな登山道を歩くイメージで進むと思いのほか楽なことが分かった。石畳にはめ込まれた石は、おそらく黒部川の河原辺りから持ってきたのだろう。飛騨片麻岩、花崗岩、安山岩、薄緑色の溶結凝灰岩(針ノ木岳の石だ!)など、北アルプスでよく見かけるものばかり。山頂から見える数々の山を想像し、ワクワクしながら歩いた。 一ノ越に着くと、そこは結構な賑わい。ここから雄山へは1時間の登りだが、我々は反対側の龍王岳を目指す。そちらへ行く人はほとんどいない。まして地図上に線の無い龍王岳山頂へはすれ違ったベテランのご婦人が一人いただけだった。 はたして龍王岳山頂からの景色は私たちの独り占めならぬ「4人占め」。燕岳・大天井方面が安曇野からのガスがかかってきているものの、その手前の山脈(槍〜大キレット〜穂高の列、烏帽子岳〜野口五郎岳の列、黒岳〜赤牛やその西の薬師岳〜黒部五郎岳の列など、みんな勢ぞろいではっきり見えた。再来週に登る予定の針ノ木岳・スバリ岳・蓮華岳などの後立山連峰は最前列でおいでおいでをしているみたい。「待っていてね、メンバー勢ぞろいで行くからね。」と心で呼びかける。(常念岳〜大天井岳〜燕岳登頂記、槍ヶ岳登頂記、奥穂高・前穂高登頂記、烏帽子岳〜野口五郎岳登頂記、前回の後立山縦走記などはこのリンクの通り。)副隊長&ヤマショウビン氏の薬師〜赤牛縦走の紀行文は残念ながらないので、ご本人に聞いてね。 いつまでもこうして眺めていたいが、そろそろ下りることにする。浄土山経由で。浄土山はのっぺりしてピークがわかりにくく山頂標も結局わからなかった。室堂でロッカーの荷物を引き上げ、みくりが池経由で本日の宿「雷鳥沢ヒュッテ」を目指す。みくりが池の群青、ミドリ池の碧玉、血の池の辰砂…どれも東山魁夷画伯の絵みたいな色。この色のまま写ってくれるといいなと思いながら、つい何枚も写真を撮ってしまう。 さて、そうこうしているうちに到着した雷鳥沢ヒュッテは、正面の奥大日岳側からはきれいに見えるが側面は「素人の人がペンキを塗って失敗したのかしら?(失礼!)」と思うような凸凹の、ちょっと見「オバケ屋敷」のような様子で初めは驚いた。しかし中に入るときれいで、大部屋もゆったりしていてホッとした。食事も豪華だった。お風呂は、女湯にはリンス・イン・シャンプーとボディソープが完備しており、別棟で濁り湯の温泉もあった。宿の人も親切で好印象。アーベントロート(夕焼け)の立山連峰を肴に飲む日本酒の味も格別だった。(by Kono) 〈2日目〉 3:30起床、日の出はまだで辺りが暗いので、4:05ライトを点けて雷鳥沢ヒュッテを出発する。石畳の道を下って行くと前方の黒々とした山肌にポツポツと小さく光が並んで動いている。あれは劔御前小舎への登山道を登る人達のライトであろうか。雷鳥沢キャンプ場は静かでちらほらと朝餉の支度をする人がいるだけである。副隊長曰く「この時間にまだテントが張ってある光景は信じられない。早出は常識でしょ。」と。 浄土沢橋を渡り左手上流を行くと剱御前小屋と奥大日岳の分岐がある。まっすぐ進み雪渓を通過する。少しずつ空が明るくなってきたが、まだ白い月が見えている。眼下となった雷鳥沢ヒュッテの窓から明かりが漏れている。 新室堂乗越、この分岐にまた戻ることになる。ここから室堂乗越への稜線歩きは気持ちがいい。雄山の山頂に朝日があたり輝き始める。ずっと下に見える山小屋がおもちゃのようである。今日一日もいい天気が期待できそうだ。 室堂乗越の手前位だったろうか、劔岳がすぐ近くに見えてくる。切り立った険しい山肌に今も取り付いている人がいるだろうなとじっと目を凝らすが、もちろん見えるはずはない。足元をしっかり見なくてはと思うが、劔岳も気になりながら歩く。奥大日岳まであと少しだ。 すっかり朝日が昇り暑くなってきた。空は雲一つない快晴、目が痛くなる程の真っ青である。 ちょうど2時間半程で奥大日岳山頂に到着する。これまた劔岳が真正面にどーんと聳えている。早月尾根のゴツゴツとした岩肌が目の前に迫ってくるようでしばらく見とれてしまった。そうこうしているうちに山頂に続々と人が集まり始めたので、さっと写真を撮り下山を開始する。まだまだ先は長い。元来た道を新室堂乗越まで戻る。 さて、ここから剣御前小舎まで1時間20分の登りである。見上げると小さく小さく稜線上に小屋が貼り付いている。見えるというのは嬉しくて励みになるかと思いきや、見えるというのは案外残酷なことであるとすぐに気がつく。九十九折りの登りであるが、歩いても歩いても一向に小屋は近づいてこない、小さい豆粒のままだ。しまいには見上げる余裕もなくなり、ひたすら足元だけを見つめて一歩一歩足を前に出すのみであった。 休憩の声がした、副隊長「みんな何もしゃべらないね。」と。「はい、おしゃべりする余裕はございません。」水分補給をして気を取り直し出発。あと少し、小舎は今度こそ大きく見えてきた。9:05劔御前小舎に到着、ほっとする。だが、もし立山に登るとしたらこれからが本番だ。計画ではここから別山、真砂岳、大汝山、雄山そして一の越山荘まで3時間半の道のりである。副隊長は皆の体調を考えて、このまま下山すると決定した。それならば、と誰も行かない劔御前山にペットボトルだけを持って空身で行くことにする。劔御前山の山頂はまあなんと眺めのいい所だろう。もちろん目の前には剱岳が堂々と聳え立っている。立山連峰はもちろんのこと、不帰のキレット、天狗の大下りがすぐそこに見える。しばし写真を撮り、ぼんやりと見とれた。そして「そろそろ行きますか。」劔岳を目に焼き付けて下山する。 あとはひたすら雷鳥坂を下るだけ。ここは浮き石が多くて足運びに集中しなくてはならない。大きなザックを背負った高校生のグループや年配の夫婦、女性一人の方など多くの人とすれ違う。下って下って1時間10分程か、やっと浄土沢橋にたどり着いた。称名川の河原に下りて暑さをしのぐ。川の水はしびれそうになるくらいに冷たい。 橋を渡ってから石畳の道をみくりが池温泉まで登り返さなくてはならない。頭と体はもう完全にオフモード。そのため、ここからが辛かった。観光用の固い石は歩きにくく容赦なく直射日光が照りつけ、階段は延々と続いている。トントンと調子良く上から下りてくる人たちを横目で見ながら、またしても一歩一歩歩く。そして、正午みくりが池温泉に到着。何よりもまずビールでカンパーイ、美味しい。 みくりが池温泉は日本一高い天然温泉だが冬は閉鎖されるため、通年営業では高峰高原の温泉に負けるそうだ。山小屋というよりホテル。個室には浴衣があり夕食はまぐろとホタテのお造り、紅茶鴨のスモーク 郷土料理のつぼ煮(こごみを天日干しにしてふっくらと戻し人参、里芋、厚揚げ、こんにゃく、たけのこなどを煮たもの)などなど6品もある。 夕食後は暮れていく空を眺めていたが、やがてもくもくと黒い雲が広がり急な雷雨、激しい雨が窓ガラスに打ちつける。それも短時間で終わり、黒雲がさっと去った後には星の瞬く夜空が広がった。大自然の天空のショーで興味深かったが、それは建物の中から見ているからであり、この時間にまだ山小屋にたどり着かない登山者がいたようである。朝が早かったので早々に引き上げて、布団に潜り込んだ。 (by ひろ) |
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