春の花の追っかけは難しい。天気と気温が気になるところ。ピンクに染まる桃源郷に行こうと計画していたのに、先週は嵐の予報で行き先を変更せざるをえず、桃の花が散ってしまわないかとはらはらしながら山行の日を待っていた。
松浦本で「扇状地の桃源郷に降りる」と紹介されているコースのとおりに笹子隧道までタクシーで行き、京戸山〜達沢山〜旭山〜桃源郷のはずだった。だが、前情報ではタクシーで笹子隧道まで行けると聞いていたのに、現地に行ってみるとゲートは閉まっており笹子隧道まで行けない。結局登り口を立沢に変更することにして、ぐる〜っとタクシーを走らせてもらった。
《このちゃんがタクシーを予約する際、笹子隧道までタクシーで行けるのか何度も確認したのに、案内のおばさんが間違って認識していたらしい。笹子隧道までのゲートが開くのは例年4月下旬。ということで、桃の時期には笹子峠を経由するコース設定は難しい。》
タクシーは立沢の採石場まで入ってくれた。急な計画変更だが、「林道を1時間ほど登り、林道終点から登山道を50分で達沢山」と地図を確認し、気を取り直していざ出発。つづれ折りの林道は意外と斜度があり息が切れた。尾根に上がるまでの登山道も結構急登続きで、なかなか大変。きょうのコースの中では、この尾根に上がるまでが体力的にしんどいところだった。
「ナットウ箱山」。このおもしろい名前の山に是非行きたいとメンバーの意見が一致し、ナットウ箱山へピストンすることにした。やせ尾根を歩き始めると左手に、雪を頂いた八ヶ岳が!右手には枯れ枝の間から富士山が!さらに進むと、変わって左手に南アルプスの山々が甲斐駒ケ岳から順番に姿を現す。(ここもなかなか斜度がきつい。)ナットウ箱山と京戸山本峰の2つの標識がある。天気にも恵まれ、八ヶ岳と南アルプスの山々を一望できる。甲斐駒ケ岳から赤石岳まで・・・素晴らしい!感激しながら名前を覚えた。芽吹き前のこの時期だからこそ、雪を頂く素晴らしい山並みが臨めるのだ。いつまでも眺めていたい気持ちを抑えて、達沢山へと尾根を下る。
先ほど登ってきた分岐を過ぎ、ひと登りで達沢山に。山梨百名山の木柱が立っている。三角点もある。南側が少し開けていて、三ツ峠、黒岳、釈迦が岳、富士山が臨める。木々の間から八ヶ岳を眺めながらの昼食。さあ、あとは下るだけ・・・。「桃の花を愛でながら温泉に浸り、風呂上がりにはビールをグイッと!」もう妄想が止まらない。しかし、きょうの山はここからが長く大変だった。
隊長も副隊長も未踏のルート。昭文社の5万分の1の地図では点線すらない。私達は道に迷わないように、松浦本と地形図と、このちゃんが作ってくれたコースマップとで予習していたが、2か所迷った。
1か所目は達沢山山頂からの下山口。先行くパーティーが途中まで一緒だというので、一旦そのパーティーについて行ったが、北西に進むところを南西に進んでいると気づき、山頂に戻り、もう一度下山道を探す。赤テープはなく結構な急下降だが、方角を決めて下山することにした。下りながら先に続く尾根が確認できて安心した。
1145mピークを過ぎ、籠袋と呼ばれる地点では、松浦本で「南からの尾根をあわせる」と記述してあるが、あわさる尾根がよくわからなかった。
2か所目は、1016mを通過し、松浦本で「コブで右に行き、そのあとは、北ではなく左(西)に行く。」と記述されている場所。地図を読み「左!」の西を意識したはずだったのに・・・。
標識も赤テープもないので、下り100m10分を目安にし、地図を読みながら仲間同士で位置確認をしていたはずなのに、広めの尾根ではコースをはずれてしまったことに、山歩きの難しさを改めて感じた。この2か所では、いずれもこのちゃんのGPSに助けられた。ありがたや〜GPS!
達沢山から旭山までは、若芽の黄緑がやさしい尾根である。右に八ヶ岳、左に富士山と黒岳、釈迦ヶ岳など御坂の山々が見える。まだまだ芽吹ききっていないこの時期だからこの景色を楽しめることを素直に喜んだ。
小さなコブのような824m旭山は、地図に旭山と書かれている山で、809.5m旭山山頂標の場所には三角点がある。向かいの山裾に桃の果樹園が広がっているが、この果樹園のピンクがイマイチ。やはり先週の風雨で桃が散ってしまっているのか・・・!
蚕影山までの道は溝状に掘れていて、落ち葉がふかふかに積もっている。程なく蚕影山に到着。ここで出会ったおじさんに、やはり里ではもう桃の花は散りかけていると聞き、桃源郷の感激を味わえないのかと気分が落ちそうになりながら歩を進めた。
もう下山のフェンスが目前というその時に、「あー!!!!!きれい〜〜〜」その光景が広がった。フェンスを出ると、「うわ〜〜〜」まさに桃源郷。青い空にピンクの桃の花が映える!
(どうぞ、写真をお楽しみください。)
地元の方に、「いい所ですね〜」と声をかけると、「上の方がいいよ〜」と1時間ほどで行ける“花見台”というところを教えられた。しかしもう時間が遅いので諦めた。来年へ持ち越し。
桃の里温泉の露天風呂でゆったりお湯に浸る。満開だったならばどんなにすばらしい眺めであったことかと、ちょっと残念な思いはぬぐえなかったが、風呂上がりには、グイッと生ビール。あ〜妄想が現実になった!
夢の里、桃源郷・・・!!!
○来年の計画(案)
籠袋の先、1016m点を過ぎて地形図の北に向かう波線路で下山。そこから舗装道をたどって花見台を経由するのはいかがかな?花見台から甲府盆地の眺めが良いと記されている。満開の桃の花でピンクに染まる甲府盆地を眺めてみたいものだ。(byのん)
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