1日目【8月2日(金)】
ちょうど一年前のこと。このちゃんが単独山行で唐松岳から五竜岳の縦走をしたとき、あまりにも展望と花がすばらしかったので、マンマミーアの面々が来年は絶対に行きたいと心に誓った山行が、実現した。また、私は20年前に同じコースを夜行1泊で縦走したが、天気に恵まれず一度も五竜岳を目にできなかったため、このリベンジをしたかった。
というわけでこのちゃんは、今年は新幹線を使い、唐松岳頂上山荘と五竜山荘の2泊縦走という贅沢山行を企画してくれた。
8月2日、このちゃん、のんちゃん、菊丸、ヒロコさん、私の5人は東京駅集合。6:24発の長野新幹線あさま10号に乗る予定だったが、電線故障(?)のため1時間の遅れとのこと。上野駅で乗車予定のなおちゃんも東京駅に合流。ようやく7:25に東京駅を出発できた。
9:20長野到着。なんと、雨が降っている!しかも、9:10長野発の八方行きのバスは、すでに発車した後。その後は1時間半後のバスしかない。悔しい…。が、仕方ない。そこは、前向きマンマミーアのこと。すぐにこのちゃんがタクシーを交渉してくれた。ちょうど、すぐ我々の後ろにならんでいた男性二人組が相乗りすることになり、タクシー2台で八方スキー場まで向かう。10:40目的地に到着。1台15220円で、一人約3800円。バス代に比べるとちょっと割高ではあるが、バスだったらようやく長野を発車した頃。納得。長野では雨がけっこう強かったが、途中からは雨も止んで日差しも出てきた。
八方スキー場からは、ゴンドラ、リフト、クワトロリフトを乗り継いでいく。途中からは花畑の上をリフトが通る。トリアシショウマ、クガイソウ、シモツケソウ、オトギリソウ、ワレモコウ、ノアザミなどの花々が我々を出迎えてくれた。11:38八方池山荘に到着。本来ならこのあたりは白馬三山の絶景ポイントのはずだが、残念ながら中腹から上はガスっていて白馬の山々の展望はない。
昼食を採って12:13出発。雨がパラパラ落ちてきたので、雨具をつける。
しかし、すぐに雨は止み日も出てきたので、雨具を脱ぐ。八方尾根は花の宝庫。ユキワリソウ、ハクサンシャジン、ミヤマアズマギク、アキノキリンソウ、マツムシソウ、ミヤマウイキョウ、ミヤマママコナ、キンコウカ、シロバナニガナ、イブキジャコウソウ、ベニバナイチゴ、クロトウヒレンなどなど。みんな、写真を撮りまくる。マンマミーアなので、ゆったりと気楽に写真タイムが取れる。名前がはっきりしないときには、花の図鑑で確認。花を見分けるには、花は勿論のこと、葉の形や付き方が重要なポイントになることがよくわかった。
第2ケルン、八方ケルンを経て、13:22八方池に到着。池に映る白馬三山の姿は見ることはできなかったが、少しずつガスも晴れてきて、八方尾根の山並みが見えてきた。八方池の畔で、びっくりしたことがあった。途中我々を追い越していった緑色のスターバックのエプロンをつけていた若者グループが、なんとコーヒーを振る舞っているではないか!しかも無料で!!当然のごとく我々も吸い寄せられるようにして、スタバのお姉さんのところに行った。彼らはちゃんと大きなポットにお湯を入れて担いできて、その場で入れ立てのコーヒーをふるまってくれた。そのコーヒーのなんとおいしかったこと…。聞くとゴンドラ終点駅のスタバが観光シーズンに臨時営業をしていて、このサービスは今日のみの限定だそうな。なんとラッキーなこと!白馬が見えなくてがっかりしていた、我々のご機嫌もすっかり直ってしまった。
八方池ですっかりくつろいでしまい、気がつくと14時近く。山小屋に入るのが遅くなりそうと、あわてて出発。大雪渓あたりからまた小雨が降り始め雨具を着るが、樹林帯に入ると雨も止みまた雨具をぬぐ。丸山ケルンあたりからはまたまた雨が強くなり慌てて雨具を着る…といった具合に、この日は何度雨具を着たり脱いだりしたことだろうか。でも、我々は、「これも装着訓練になるね!」と、どこまでも前向き。
その間にも、コバイケイソウ、ハクサンタイゲキ、ミヤマキンポウゲ、キヌガサソウ、ウスユキソウ、ヤマホタルブクロ、チングルマ、イワカガミ、ウサギギク、エゾシオガマ、ヨツバシオガマ、ニッコウキスゲ、アカモノ(イワハゼ)などたくさんの花々が見られた。ガスっていて何も見えない中、いきなり唐松山頂小屋が目の前に現れた。4:15小屋に到着。残念ながら、ついに五竜岳は姿を現してくれなかった。この小屋に3週間滞在している救急隊の話では、ここのところずっと天候が悪くて、五竜が見られたのは3,4日くらいしかないとのこと。まあ、仕方がない。
蚕棚のような部屋ではあったが、とりあえず我々パーティ6人だけで一部屋割り当てられほっとする。汗を拭き着替えて少しさっぱりとしたところで、ビールを買いに行く。残念ながら食堂には入れないとのこと。やむなく部屋の中でビールで乾杯!のんちゃんが持ってきてくれたワインを飲みつつ夕食を待つ。6;30夕食。食堂は広くてきれい。食事もまあまあ。食事後、普段なら飲み直すところだが、部屋に戻ると周りはもう寝ている様子なので、我々も就寝。まだ19時半頃である。雨が降っているのでご来光はあきらめ、5時頃起床予定にした。一つの布団に二人ずつ寝るが、暑くて夜中に何度も目が覚める。誰かが星がきれいという声が聞こえた。雨が止んでよかった…。
2日目【8月3日(土)】
この日に帰らなくてはいけない菊丸が3時半頃には起き、そっと出て行ったようだ。菊ちゃん気をつけてねと心の中でつぶやきつつ、また眠りに入った。
気がつくと、他の登山客はほとんどいない。4:45、我々もご来光を見なくては…と、顔も洗わずコンタクトも入れずものすごい早さで小屋を出る。昨日の予報が嘘のように晴れている。もうすでに日が昇っていたため、唐松岳はあきらめ小屋の裏側の小高い丘に登り、ご来光を眺めた。なんとかぎりぎりセーフ!
この後、唐松岳に登り360度のすばらしい展望を堪能した。白馬三山、五竜岳は勿論のこと、剣、立山連峰から槍、穂高までよく見える。雲海の上に南アルプスの山々、富士山、その反対側には八ヶ岳、浅間山の頂が顔を出している。百名山のうちのどれほどが見えていることか…。歓声をあげながら写真を撮りまくった。剣・立山を見ながら、これは来年絶対に行かねば…との思いを強くする。(隊長、副隊長、お願いします!)
唐松岳から小屋に戻ってくる途中に、コマクサの群生地があった。やや花期は過ぎてはいるものの見事だった。6:15小屋にて朝食を採る。昨日は何も見えなかったが、食堂からは剣・立山がよく見える。すばらしいロケーションの食堂である。
この日は行程に余裕があるため少しゆっくりして、7:50唐松岳頂上小屋を出発した。小屋のそばにタカネグンナイフウロが咲いている。8:22丑首を通過。鎖で岩場をトラバースする。高度感もあるが、足場がしっかりしているのでさほど怖くはない。やはり、昨年の宝剣や空木の経験が生かされているのかなあ…。このあたりからタカネツメクサやイワギキョウ、イワツメクサが多くなってきた。いつものことながらこれらの花は、岩場で緊張している我々を慰めてくれる。ミヤマダイコンソウやカライトソウ、ミツバオウレンの花も覚えた。クロトウヒレンも教えてもらったが、図鑑を見ないと思い出せない。(後で、見直すときにも図鑑は役立ちますよ。)
9:41大黒岳を通過。時折ガスが上がってくるが、剱岳を眺めながらの稜線歩きは気分爽快。縦走の醍醐味である。珍しいクロユリやシラビソの紫色の松ぼっくりもあった。
11:00遠見尾根(白岳)分岐。11:15五竜山荘に到着。食堂で昼食を採る。唐松岳頂上小屋は、食事はよいが
水やお湯はすべて有料。それに対して五竜山荘は宿泊客には水は無料。小屋によってずいぶんサービスが違うものだ。
12:21五竜山荘を出発して、サブザックを背負い五竜岳を目指す。五竜岳はどっしりした大きな山塊で魅力的である。しばらくすると、岩場が多くなりところどこと鎖もあるがさほど苦労もしない。13:21五竜岳頂上に到着。晴れてはいるが、残念ながらガスが上がってきて展望はなし。鹿島槍も見えない。とりあえずお湯を沸かそうとするが、自動点火装置の調子が悪く、火がつかない。ライターは小屋に置いてきてしまったので、やむなく他のパーティのコンロの火をわけてもらう。2814mでのコーヒーはおいしかった。ゆっくりコーヒータイムを取り、2:03下り始める。
2:53五竜山荘に戻り、外のベンチでビールを飲む。同席した名古屋からきた酔っ払いのおじさん、のんちゃん同郷の男性、群馬から来たカップルと楽しく山談議。なおちゃん持参の日本酒もあっという間になくなり、もう一瓶(といっても200mlのかわいいもんです)買ってくる。晴れていて暖かく、気持ちのいいひとときを過ごす。この日は8月最初の週末だけあってテントもいっぱい。カラフルできれいである。
夕方になり風が冷たくなってきたので、16時にお開きで、小屋に戻る。この日は一年の中で一番の混雑だそうな。蚕棚の部屋も一応女性客のみにはしてくれたが、16人押し込められた。とにかく通路も大きなザックでいっぱいで歩くのも一苦労。夕食も第一番目は17時だが、最後はなんと20時半だった。こんな時間に夕食だなんて…。我々は早く小屋に着いていたので、17:40には夕食にありつけたが、とにかく山小屋の人は大変そう。
夕食後も何もすることもできず、すぐ就寝。着替えもできず、汗臭い服のまま。でも、山小屋なんてこんなもので、着の身着のままが普通。温泉後の着替えさえあればOK。今回私も何だか着替えを余計に持ってきて、ザックがだいぶ重くなってしまった。時期にもよるけれど、本当に必要なものを考えてパッキングしなくては…。と思いつつ眠りに入った。
3日目【8月4日(日)】
昨日以上に窮屈で、暑くて、厳しい夜だったけれど、なんとか寝られた。朝展望のいいうちに、もう一度五竜に登ろうと、3;45起床。しかし、無情にも外は雨。五竜はやめにした。山荘の好意で朝食時間が早まり、4:25朝食。5:35山荘を出発。
小雨がずっと降り続き、展望はゼロ。遠見尾根も花畑は見事だが、一刻も早く下りたくて少しペースを早めながら、西遠見池、大遠見山、中遠見山、小遠見山と通り過ぎていく。9:50地蔵の頭に着く。遭難碑がいくつもあり、いつもながら山の恐ろしさを感じた。ゴンドラ乗り場近くには植物園があり、高山の花々が咲き乱れていたが、やっぱり自然の中で見た方がいい。10:35ゴンドラに乗り、11:00ちょうどに麓のエスカルプラザに着く。温泉でこの三日間の汗と汚れを落とす。食堂で、ビールとおそばで乾杯!2泊3日の縦走は体力を消耗するけれど、充実感でいっぱい。20年前のリベンジを果たせて満足満足。
ちなみに、のんちゃん情報によると、足のむくみや尿が少なくなるのは軽い脱水から来るものとのこと。やはり水分補給は大切だなあと、改めて感じた次第。 (by クマ)
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