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「いぃDay!」山岳会日本支部
第353回:いぃDay!山岳会日本支部登山のご報告
2014年9月13日(土)〜15日(祝)
行き先【那須連峰/朝日岳(1,896m)〜三斗小屋温泉〜流石山(1,812.6m)〜大倉山(1,885m)〜三倉山(1,888m)】
コースタイム:
13日: JR東京駅[8:28発]⇒(なすの253号郡山行)⇒JR那須塩原駅[9:35着/9:55発]⇒(東野交通バス)⇒山麓駅BS [11:20着/11:27発]→P1[12:06着/12:11発]→峰の茶屋[12:34着/12:41発]→朝日岳[13:19着/13:31発]→1,900m峰[13:55着/14:01発]→隠居倉[14:27発]→三斗小屋温泉・大黒屋[15:10着](泊)
14日: 大黒屋[7:16発]→中ノ沢渡渉点[7:54着/7:58発]→大峠[8:41着/8:48発]→流石山[9:53着/10:02発]→キスゲ小沼[10:39発]→大倉山[11:05着/11:15発]→三倉山[11:49着/12:25発]→空沢山[13:07着/13:12発]→1,480m点[13:43発]→音金登山口[14:58着/15:05発]⇒(タクシー、途中、セブンイレブンでビール等仕入れ)⇒湯野上温泉・にしきや[15:37着](泊)
15日: にしきや[8:00発]⇒(送迎車)⇒湯野上温泉駅[8:05着/8:33発]⇒(AIZUマウントエクスプレス東武日光行)⇒東武鬼怒川温泉駅[10:09着/10:15発]⇒(特急スペーシア116号浅草行)⇒北千住駅[12:02着]
晴れていれば、茶臼岳や朝日岳の頂に限らず尾根道のたいていの場所から、常に茫洋とした山塊が北西の方角に見えるのをご存じだろうか。それが裏那須(流石山、大倉山、三倉山)と呼ばれていることを知ってから、次第に行ってみたい気持ちは募ったものの、なかなかタイミングが合わず、いつのまにか30年も経ってしまった。元々マイナーな山で、地元の人たちしか登らないようなイメージが強かったが、この頃は大峠の手前までマイカーで行き、三倉山まで往復する者も多いらしい。でも我々は基本的に公共交通機関利用主義(帰路は酒浸り主義)なので、黒磯側から会津側まで縦走することとし、1泊目は三斗小屋温泉大黒屋に予約を入れた。今回は、久々、しらびそ小屋以来( http://outdoor.geocities.jp/yamadaisuki1041/p100320.htm )四年半ぶりの隊長との二人旅で、満を持して久恋の山々に登ることができた次第。
那須塩原駅で新幹線を降り、那須岳ロープウェイ駅行のバスに乗る。以前は黒磯駅始発ばかりだったが、この頃は全て那須塩原駅始発となっている。実際、黒磯駅からバスに乗ってくる客は皆無である。もう、黒磯駅前の蕎麦屋に入ることは無いだろう。定刻よりも約10分遅れで、ほぼ満員の客を乗せたまま終点、ロープウェイ山麓駅に到着(1,400円)。大方の客はそのままロープウェイ駅舎へ。我々は先ず、峰の茶屋を目指し遊歩道を歩き始める。辺りの駐車場は満車状態で、下り線は渋滞していてちっとも動かない。
樹林帯を抜けると荒涼とした谷沿いの道。朝日岳が目の前なのだが、生憎ガスっていてなかなか全貌が現れない。まだ昼時なのに、下って来る登山者と頻繁に行き交う。登りついた峰の茶屋の周りも登山者で溢れているので、その中に混じって休憩はしたくない感じ。剣ヶ峰をトラバースする道からも続々とやってくる。聞けば朝日岳往復ツアー客とのこと。朝日岳を日帰り往復したことがないので、へーという感じ。考えてみれば、今まで、那須に来て日帰りしたことがない。大半が三斗小屋泊りだし、その多くが年の瀬だった。
朝日岳山頂も、かなり賑わっている。山頂から見下ろすと、峰の茶屋から下っていく人々が連なっている。こんなに人で溢れている那須岳も記憶に無い。熊見曽根まで来ると、人の数はぐっと少なくなる。隠居倉から急降下、明るいうちに大黒屋到着。初めて新館に案内される。床や柱が飴色の本館とは違い、明るい。外窓と内窓の間が、隣の部屋と繋がっているところは本館と同じ造りである。とりあえず荷物の整理が付いたら風呂へ。男性は岩風呂の時間帯。覗いてみると小さな風呂にもう6人ほど入っていて立錐の余地もなさそうだが、どうぞどうぞと云われてなんとか潜り込む。ややぬるい。その後出直して、大風呂にも入る。こちらはやや熱い。内風呂になのにこの解放感は、何回入っても素晴らしいと思う。部屋に戻って、夕食までワインと日本酒をちびちびやる。夕食後、午後8時過ぎに就寝。
明けて午前6時半、朝食。辺りはガスっている。隊長は素早く食べて朝風呂へ。本館で支払いを済ませ、徐に出発。大峠方面には我々以外、ひと組が向かう。あたりは、那須とは思えないような鬱蒼とした原始の森である。途中、3本の沢を横断するが、丸木橋が無いので、極めて滑り易い石の上を慎重に渡る。沢からの登り返しは旧街道らしからぬ急傾斜。これでは馬は越せそうにない。旧街道はここではなく、三斗小屋宿から直接、大峠に向かっていたと思われる。
大峠に到着、ここは栃木県と福島県の県境。漸く樹林帯から出て眺望が得られるようになるが、三本槍岳方面はガスの中。ここから流石山まで約1時間、一気の登りだが、小気味良い程に高度が稼げる。登るにつれ景色もどんどん変化する。沼原の貯水池が、次第に全貌を現す。とてつもなく巨大な河童の皿のようだ。まったく水が無い。それもその筈、深夜電力を利用した揚水式発電用の貯水池なので、原発が稼働していない現在、無用の長物どころか、リターンを生まない単なる重荷となって東電の財政を圧迫している。まあ腐るような代物ではないのが救いか。
所々キキョウやトリカブト等、お花畑の名残りはあるものの、ほぼ笹で覆われた斜面を快調に登り、流石山到着。三本槍岳や朝日岳に纏わりつくガスはなかなか完全には取れない。次の大倉山を目指す。トレラン二人組と行き交う。彼らもやはり往復の様だ。我々は音金に下る予定だと云うと、藪がどうなのか心配ですね、とアドバイスをいただく。確かに大峠から往復する者ばかりでは、会津側の道も廃れるかも知れない。とは云え、地元下郷町で毎年山開きのイベントがある筈なので、それなりに道はあるだろう。それにそもそもトレランは藪漕ぎには過敏かも知れぬ(走りながら藪漕ぎは難しいだろ!)と思い、先を急ぐ。
流石山も三倉山もそうだが、この大倉山山頂も、国土地理院地形図の山頂表示と、三角点(大倉山には無い)と、実際の標識とが微妙にずれている。地形図上では大倉山の山頂は1,831m峰と1,792m峰の何れかのように見えるが、標識は、更に西の1,885m峰にある。ちなみに、流石山も地形図では1,822m峰が山頂の様だが、三角点と標識は1,812.5m峰にある。三倉山も、三角点は1,854m峰にあるが、地図上の表記と実際の標識、そして祠も1,888m峰にある。逆に云うと、それほど顕著なピークがないということだろうが、このような状況はどうも落ち着かない。だれか、はっきりさせて欲しい。
大倉山に近づくと笹原から次第に灌木帯に変わる。それに伴い、道には根っこが強かに這い回っていて、歩き難い。トレラン達もこれでは軽やかに走れないだろう。山頂に着くと、思いがけず雨が落ちてきた。直ちに合羽を着る。晴れたり曇ったり雨が降ったりと忙しい。大倉山山頂は眺めもぱっとしないので先へ。三倉山までの道もそれほどアップダウンがある訳ではないが、稜線漫歩のように優雅には歩き難い。やがて、栃木県と福島県との県境の尾根が左手に折れ、これから先は100%、福島県である。
三倉山には地元、下郷町が建てた真新しい標識と石祠がある。再びガスが上がって、那須連山が見えてきそうなので大休止、ゆっくりコーヒーを飲む。突然、トレラン単独行(おそらくこの記録がご当人のものと思われる: http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-509007.html )が現れる。水筒を手に持っているだけ、極めて軽装である。写真だけ撮ってあっという間に戻って行った。そのうち、ガスが取れてきて、茶臼岳から朝日岳、三本槍岳、旭岳が全貌を現わす。こうやってみると、表那須山塊は遥か彼方に見え、こちらの裏那須山塊とは全く別の山のように感じる。
さて、いよいよ下山。トレース自体はしっかりしており、藪も全くないが、木の根が絡み合ってスムースには下れない。一歩一歩確実に下るのみ。唐沢山が最後のピーク。下界は黄金色の田んぼが広がっていて、谷間の盆地にしては意外に広い。再び雨が落ちてくる。今日の天候は目まぐるしい。
やがて「峰の登り口」という場所に到着、2013年版までの昭文社の地図では、この先も尾根通しに道が付いていることになっているが、2014年版ではここから尾根を外れ、谷沿いに下りるようになっている。その谷沿いの道というのが曲者だ。ほとんど道らしくなく、がらがらで足元不安定な涸れ沢をコケないよう、滑らないよう下るしかない。この先に林道があるからといって、この涸れ沢を「道」にしたのはちょっと強引ではないだろうか。トレランの人たちに限らず、殆どの登山者がこちらに来ない理由がわかったような気がする。
林道に出てタクシーを呼ぶ。大して歩き易くない林道を暫く辿れば視界が開け、目の前が蕎麦の花畑と黄金色の水田となる。ここはシャングリラのようだ。タイミング良くタクシー到着。運転手は地元・音金の方で、この登山道のことも、山開き( http://shimogo.jp/2014/07/4093/ )のことも色々教えてくれた。この頃はなかなか参加者が集まらないとも。宿に直行する前に、コンビニに寄ってビールと氷をゲット。キンキンに冷えたビールをタクシー車内で飲み、念願だった裏那須縦走を終えた余韻に浸る。 (by 副隊長)
今回の参加者:隊長、副隊長
実働時間:1日目 3時間13分、 2日目 6時間31分、合計9時間44分
累積登高差(+):1,566m
踏破距離:18km
☆ 1日目の宿はこんな宿
☆ 2日目の宿はこんな宿
☆ 本日の打ち上げはこんな店
☆ 本日打ち上げ 2軒目はこんな店
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