コースタイム:
〈1日目〉西武池袋駅[8:05](快速急行三峰口行)〜三峰口駅[10:17/10:25]〜タクシー(5770円)〜日向大谷口[10:52/11:05]〜休憩[11:47/11:52]〜休憩[12:47/12:50]〜八海山[12:52]〜弘法之井戸[13:20]〜清滝小屋[13:35]
〈2日目〉清滝小屋[6:08]〜鈴が坂[6:23]〜産体尾根[6:33]〜休憩[6:38/6:43]〜横岩[6:55]〜休憩[7:15/7:18]〜剣ヶ峰[7:52/8:03]〜休憩[8:43/8:50]〜ミヨシ岩[9:05]〜休憩[9:23/9:28]〜大峠[9:47]〜梵天の頭[10:32/10:37]〜白井差峠[11:32/11:55]〜休憩[12:22/12:35]〜休憩[13:00/13:05]〜横田さん宅[13:35/13:40]〜中双里BS[13:51/14:22]〜大滝温泉遊湯館BS[14:57/16:00]〜西武秩父駅[16:51](池袋行)〜西所沢駅[16:03]
トレイルマップ
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高度記録
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<プロローグ>
両神山は「行かねばならぬ山」の筆頭の一つだった。武川岳や武甲山など秩父の馴染みの山からはいつもよく見え、その険しい山容は一目で両神山とわかって、目に焼き付いていたからだ。個人的には両神山のすぐ隣の二子山(2012年7月1日登頂)や、その付近の地溝帯の恐竜化石山地には訪れたことがある一方、隊長・副隊長が剣ヶ峰〜東岳〜西岳を2005年6月に登頂済みのため、「いぃDay! 山岳会」ではなかなか計画されることが無かった。いつかマンマミーアで行くしかないかなと思っていた所、今回の企画。仕事が一番忙しい時期の直後だが「行く!」ととびついて、その日を迎えた。
<1日目>
登り口は、両神山ピストンでよく使われるコース、日向大谷バス停より歩き始める。まだ梅雨明け前で霧雨・小雨の中、2時間半ほどで清滝小屋に到着。
2010年6月から無人の避難小屋として一部開放になったそうで、かつて有人だった時のなごり(シャッターの閉まった売店の窓口や二階への階段など)を見て副隊長は感慨深そう。何十人も泊まれた大広間に泊まるのは私達だけ?何という贅沢!と喜ぶ。…その後、休憩していた単独行氏が発った後、別の単独行氏が来たが、結局その日の宿泊はこの5人だけだった。
夕食は、早茹でパスタを使って高速クッキング。ご近所からいただいた無農薬トマトをコッヘルに入れて持ってきたのでポテトサラダ、サラダ用チキンなどと並べると彩りもよく、おいしくいただけた。小屋横のテント場ではきれいな水が蛇口から出る。持参のプレミアムモルツのロング缶2本もその水で冷やしてから乾杯した。(おいしかった!)
夜は、持参のワインや日本酒を楽しむものの、電気もないので暗くなってきたら早々に寝るしかない。明日に備えて、早く寝た。「夏は着こんで寝ればシュラフカバーだけでも大丈夫」の副隊長アドバイスにより、-15℃のシュラフ(夏は0℃で十分だそう)しか持っていない私はゴアテックスのシュラフカバーしか持ってきていなかった。でも、この雨模様ではちょっと寒い気がしたので、副隊長のシュラフカバーを借りた。カバーの上にカバーをしたら、長袖で眠ってちょうどよかった。一つ一つが経験だなぁ。
<2日目>
朝ご飯の「マルタイ 棒ラーメン」(チャーシュー、ゆでたまご、穂先メンマのせ)とトマトを食べた後、清滝小屋を6時過ぎに出発。下界は曇りのようだが、私達「雲の上の人」(雲の中の人)はずっと霧の中。でも、朝日の差してくる雰囲気から見て、山の上に上がるころには雲海の上に出られるのでは、と期待して出発する。急登ではあるが、九十九折なので、それほど大変な感じはない。湿度が高いから足元が滑りやすいのが難点だが、少し危険そうなところには鎖がついているので助かる。喉が渇くため、いつもよりこまめに休憩を取り、1時間半ちょっとで剣ヶ峰に到着。期待通り雲海の上に出て、展望を楽しむ。奥秩父の山々、金峰山や笠取山、国師ヶ岳などが勢ぞろい。富士山も見えて疲れも吹き飛んだ。
最近の山行では、大抵、山頂にとどまる時間が5分以内のことが多かったが、今日は展望が良かったためもあって10分くらい楽しんだ。下山後のバスに遅れたらいけないし途中何が起こるかわからないから時間に余裕をもって行動するのは大切だが、せっかくの山登り、こうして眺めをゆっくり楽しめるのも嬉しいなぁ。今度から、好天の時は体温低下に配慮するから「あと5分眺めさせて♪」とお願いしてみよう。
さて、雲の上から雲の中へ向かって下山。今回下りに使うのは「梵天尾根」だ。この梵天尾根が思いのほか手強かった。50mから150m位のアップダウンを10個くらい繰り返した後、最後一気に800m下りきるのだ。一日の疲れがたまってきた一番最後に激しい急下降が続くのは、膝の踏ん張りが利かなくなることも多く、タフなコース。しかも今日のように湿度100%のような日は、木の根も落ち葉も苔むした岩もみんな滑るので、一瞬たりとも気を抜くことができない。下山口の中双里バス停への道標がところどころにあるが、あと何kmなのか、道標が削られ割られていて読めない。これはたぶんクマの仕業…と思ったら、前方急傾斜の下の方に小熊を発見。近くに親もいるようで、走り下りていく姿が見えた。熊はそのまま逃げていき、こちらは鈴がしっかり鳴るよう再確認してそのまま急下降で進む。私はずっと最後尾を歩いてきたが、「この先まだ400m下りなければならない」という辺りで膝が笑いそうになり、速く歩けなくなってきた。「まずい。」そこで副隊長にお願いして、二番目を歩かせてもらうことに。
「絶対に転ばない。絶対に足を踏み外さない。」と念じながら精いっぱいのリズムで集中して下りた。最後、「登山口」に飛び出した時はホッ。あとから、両神山での滑落事故がとても多いと知ったが、鎖だらけの八丁峠方面というより、むしろ梵天尾根だけ見てもそうなのがうなずける気がした。細尾根で、急下降急上昇の連続で、湿気が多い日はどこもかしこも滑りやすい長い道だから。
登山口は一般民家の隣だった。ちょうど出てきたご老人に「こんにちは。」と挨拶をしたら、「両神山へようこそ、よく来てくださいました。」みたいな感じで話しかけてくださった。「登山口に自宅があるので若いころはよく登山道の整備を手伝ったり、立て看板を直したりしたものですよ。」お話をひとしきり聞いたのち、「喉がカラカラなのですが、この近くでコンビニか、何か、ビールを売ってくれるような所はありませんかね?」と聞いてみた。すると、「ビールならあるよ。」と家の中から出してきてくれた!「ええ?そんな!いえ、すみません。まあ、ありがとございます。お金を払わせてください。」横田さんとおっしゃるその御仁に千円札を何とか受けとってもらうと、バヤリースオレンジまで出してきてくれた。なんでも町の集会でよくこの家に人が集まるので、いつもビールや飲み物が常備してあるとか。冷蔵庫で冷やしたものではなかったが、思いがけない神様のお恵みに感激。「でた〜!このちゃんの図々しさ!」という意見もあったが(by 副隊長 ^ ^;)、人間、警戒心無くこちらから心を開けば、自然と相手も心を開いてくれることが多いのよ。
(笑)
中双里からバスに乗り、大滝温泉遊湯館で汗を流してから西所沢に出て、おなじみの久呂無木へ。ひざの手術後のリハビリが順調というクマちゃんがここまで出向いてくれて楽しく盛り上がった。クマちゃんの早くの完全復帰を願いながら、おいしい日本酒をいただく。お酒を傾け楽しい話が弾みながら、ふと今日の横田さんとの出会い、そしてクマちゃん、副隊長、なおちゃん、ひろちゃんをはじめ人のつながりや、「縁」の不思議さを思った。
私は特別に何かの宗教を信じているわけではないが、神様かご先祖様が助けてくれたと感じるようなできことがよくある。「人に恵まれる」ことは人生で一番の幸運。今回の両神山も幸運の神様の棲むいい山と思わずにはいられなかったなぁ。 (by この)
今回の参加者:副隊長、このちゃん、ひろちゃん、なおちゃん
実働時間:〈1日目〉2時間22分 〈2日目〉6時間21分
累積登高差(+):〈1日目〉1021m 〈2日目〉1062m
踏破距離:〈1日目〉4.3km 〈2日目〉8.5km
☆ 泊まったのはこんな小屋
☆ 山から下りたら思いがけず
☆ 日帰り温泉はこんな所
☆ 打ち上げはこんな店
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