第174回 マンマ・ミーア!山行ご報告
行き先 北アルプス*雲ノ平〜祖父岳(2825m)〜鷲羽岳(2924.4m) 〜祖母岳(2560m)〜太郎山(2373m) |
2019年8月3日(土)〜6日(火) p190804 |
コースタイム: 前夜泊 8/2(金) JR東京駅 北陸新幹線かがやき517号金沢行〔18:24発〕〜JR富山駅〔20:34着〕〜富山駅前ホテルアルファーワン泊 1日目 8/3(土) 2日目 8/4(日) 3日目 8/5(月) 4日目 8/6(火) |
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今回の参加者: このちゃん、のりちゃん、ひろちゃん、くまちゃん 実働時間:合計24時間50分 (1日目 5:55 + 2日目 3:00+6:15 +3日目 6:10+4日目 3:30) 累積登高差:合計(+)3764.7m 1313.5m+1700.7m+651.1m+99.4m 踏破距離:合計40.4km 11.3km+14.2km+8.3km+6.6km |
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〔1日目〕快晴 翌朝は、晴れ。朝から暑い。5:30予約してあるバスにて折立に向かう。バスは満席だ。7:35折立に着く。身支度をしていざ出発。樹林帯の中を登っていくが、下りてくる人も多い。三角点広場に着くと、立山方面の山並みが見えてきた。ミヤマキンコウカのお花畑に歓声が上がる。ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマママコナ、ニッコウキスゲの花もあちらこちらで見かける。眼下に見える有峰湖の真っ青な湖面が美しい。このコースは要所要所にベンチがあり、登山道も整備されているだけあって、中高年の登山客の姿が目に付く。 花や景色を楽しみながら気持ちよく進み、昭文社のコースタイム5時間のところを4時間で太郎平小屋に着く。北は薬師岳(2925m)、南には黒部五郎岳(2839m)、そして黒部川源流の沢の向こうには水晶岳(2986m)と百名山ががずらりとそびえ立っている。薬師岳の山塊の大きさには圧倒される。 ここで昼食をとった後、薬師沢に向かう。白いタテヤマリンドウ、青いミヤマリンドウ、ヨツバシオガマ、エゾシオガマ、イワイチョウ、ハクサンフウロ、タカネニガナ…このちゃんが教えてくれるが、なかなか覚えきれない。チングルマはほとんど綿毛になっている。 やがて、谷に向かって急な斜面を下ると薬師沢の音が大きくなってくる。薬師岳方面から湧いてくる雲がどんどん広がり、空が暗くなってくる。やがて雨が降り出してきた。夕立は急にどしゃぶりにもなるので、すぐに雨具を身につける。木道になったが滑べらないように気を付けて歩く。地図に記されている第一〜第三徒渉点以外にも何度か沢を渡るが、いずれもしっかりした橋がかかっているので、安心だ。第三徒渉点後、急な登りを過ぎると広々をした草原に出る。「黒部の山賊」の舞台であるカベッケが原だ。思わず「おーい!」と叫んでしまう。シラビソの樹林と笹原におおわれた静かな湿原だ。ひろこさんは、「黒部の山賊」を思い起こして、感慨ひとしおの様子。幸い雨もやんできた。 最後の激下りを進むと、ひょっこり薬師沢小屋の脇に出た。14:50、ほぼ予定通りに到着。黒部川と薬師沢の合流するところにぽつんと建っている。幸いなことに早くに予約を入れたおかげか、個室が取れ、布団も一人一枚。うれしい。やまとけいこさんも働いていて、一緒に記念写真を撮ってもらう。明るくきさくな方だ。 着替えて、乾燥室に濡れたものを干したら(乾燥室は広くはないが、ストーブをがんがんとたいているのですぐに乾いてありがたい。)小屋の前のテラスで待望のビールだ!私は今回はビールを飲むと決めていたので、迷わず500MLの缶で乾杯!明日、赤木沢を遡上するという沢屋さんや金沢から来られたご夫婦と話が弾む。山小屋泊りは、このひと時がたまらない。17:00夕食後、明日の予定を相談し20:20布団に入る。(by くま) ここから、雲ノ平周辺を散策するペアと、鷲羽岳を目指すペアとに分かれ、行動することにした。 雪渓を横断し、祖父岳の急登を登る。暑くなってきたため、かなりバテ気味だ。10:40ケルンのある祖父岳山頂に到着。目の前には鷲羽岳が姿を現した。黒部五郎岳のカールも見える。槍ヶ岳は雲の中。 気合いを入れ直して、鷲羽岳に向かう。祖父岳を一端下ると、再びチングルマやコバイケイソウなどのお花畑が広がる道を行く。やがて岩苔乗越で登り返す。ここは、高天原、三俣蓮華の分岐点だが、高天原からの登りは沢沿いの道を延々登る厳しい道なのだろう。(当初の予定では、この道を高天原から登ってくる予定だった。)ワリモ北分岐で水晶岳へ向かう道と分かれ、アップダウンを繰り返す。ワリモ岳に到着。(後から分かったことだが、ワリモ岳は、祖父岳と並んで太郎平からもよく分かる特徴的な形をしている。)山頂まであと一息。 九十九折の道を一気に登り、鷲羽岳山頂に到着。10人ほどの登山客がいたが、山頂は比較的広く、混雑した感じではない。山頂からの眺めは想像を超える大展望だ。コバルトブルーの鷲羽池、その向こうに赤い山肌の硫黄岳。大天井、常念岳の稜線もはっきり見ることができた。北は水晶岳、白い真砂岳、野口五郎岳の稜線が続いている。南には三俣蓮華、双六岳。出会う人たちは、各人、これから水晶小屋、双六小屋、黒部五郎小屋まで向かうと言う。選択肢が多く、山小屋が充実しているからこそ、多くの人が行き交う人気のルートなのだろう。今度は違うルートで稜線を歩いてみたいと思った。 15分ほどで下山開始。もと来た道を戻る。雲が広がり、遠くで雷の音が聞こえ始めた。祖父岳を過ぎたあたりでパラパラと降られたが、合羽を着ることなく、一気に雲ノ平に到着。宿に着いたのは既に16:20。往復7時間15分の行程だった。 夕食の後、雲ノ平山荘の伊藤二郎さんから、「黒部の山賊」にまつわる話を聞き、故人である伊藤正一さんの黒部開拓の歴史を辿るスライドショーを見せて頂いた。最後に、伊藤さんが語られた話は、民間による山小屋経営の困難な状況、国による法の整備、支援の必要性を強く訴えるものだった。私たちが、安全で快適な登山ができるのも、伊藤さんのようなオーナーによる経営努力が大きいことを心に留め、感謝の心を忘れないようにしたい。 眺めを堪能した後は、祖父岳の登りにかかる。最初はハイマツの中を行く。咲き終わったシャクナゲの花が2輪だけ残っていた。一箇所だけ雪渓があり、そこはまさに花の楽園。ミヤマリンドウの青い色とミヤマアキノキリンソウの黄色とチングルマが織りなす庭園だ。 山頂は大展望。真正面には水晶岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳、そして間からは、穂高連峰の北鎌尾根のギザギザがうっすらと見えているではないか。素晴らしい。風もなく、薬師沢小屋のお弁当をほうばる。中華ちまきが3個、ちょうど良い量で美味しかった。 大展望を眺めながら30分ほど長居をした。さて、下山。やっぱり花を愛でながら。花の師匠(このちゃん)はいないので、不肖の弟子二人は名前を思い出せない花を 何だろう、何だっけ と言いつつ下りていく。 ちょうど13:00過ぎに雷岩に着く。クマちゃんは雲ノ平山荘が見えるここをスケッチ場所とする。岩の上に腰を下ろしてペンを動かすクマちゃんにさよならをして一人祖母岳へ。山荘を通過して薬師沢方面の分岐を経て丘へ上がる。5、6分で山頂に着く。 期待した槍ヶ岳を雲の中。ぼんやり休んでいたが、ふと立山方面を見るともくもくと黒い雲が広がってくるではないか。雷雨になるかもと慌てて小屋は向かう。14:30に小屋に入るとクマちゃんが靴を脱いでいたところだった。やはり黒雲を見て戻ってきたとのこと。 雨が止んだので外に出て木道に目をこらす。しばらくすると豆粒のような2人連れ、先頭を歩く人の赤いスパッツが目に止まる、あ、あれはこのちゃんでは・・と。ようやく目視できる距離で手を振る。よかったぁー。クマちゃんと盛大にお出迎えをしたのだった。(by ひろ) ここから急坂の下山。雲ノ平のテーブルから沢まで一気に下る。なにしろ大きな岩や木の根が濡れて滑りやすく、気が抜けない。緊張の連続だ。薬師沢小屋に無事到着して、ほっとひと息。 再び、登り返し、1日目に通った木道の道を折り返す。第三渡渉点の手前のベンチで、キスゲ、イワオトギリ、ミヤマリンドウ、エゾシオガマなどの花々を眺めながらしばし休憩。第一渡渉点を過ぎると、太郎平小屋に向かって九十九折の急登を一気に登る。夏の暑い日差しが照りつけ、歩みが遅くなる。振り返ると、水晶岳は、もうかなり遠くに見える。やがて、木道が現れ、太郎平小屋にたどり着いた。小屋に早めに着いたので、薬師岳や水晶岳を眺めながら、心地よい風に吹かれ、ビールで乾杯となった。 夕食時、富山県警の方より山の安全についての講話があった。この日一日だけで4名の救助要請があったこと。怪我の原因になる場所「木道」「岩」には十分注意してほしいこと。この3日間で、「木道」「石」で滑り、「木の根」「杭」で足を引っかけて転倒した。よく無事で帰ってこられたなあと、ほっとした。「このちゃんのお祓い」が効いたかな?ありがたや〜。残すはあと一日。晴れて安全に下山できますように・・・。 (by のり) その後、太郎平小屋に戻り身支度をする。名残惜しいが黒部源流の山々に別れを告げ、折立に向かって下りていく。富山市方面を覆う雲海のかなたには、白山も望めた。いつか白山にも登りたい。また、行きたい山が増えてしまう。下りながらも左には有峰湖、右手前方には立山の剣岳と、足元に気を付けながらもつい目は山々の方に向いてしまう。 登ってくる登山者に道を譲るため、思いのほか下りに時間がかかり、9:40に折立に到着。10:00に予約したタクシーはすでに来ていた。すぐにタクシーに乗り、有峰口駅へ向かう。ところが、運転手が遠慮がちに日程やバスの料金を聞いてくる。そのうち、途中白樺ハイツという温泉に寄り、1時間ほど待っているので、富山駅まで乗っていくというのは、どうかと打診してきた。有峰口から地鉄に乗り換え、富山駅からタクシーで銭湯に行くのとでは、料金はそんなに変わらない。ならば、この方が楽だということで、急遽変更することにした。4日ぶりのお風呂で汗にまみれた体を洗い、さっぱりしたところで、お疲れ様ビールで乾杯!この後は、運転手お勧めの駅前の「撰鮮」という食堂で生ビールと海の幸を堪能し、これまた運転手に教えてもらった「きときと市場」でお土産をゲットして、2:06のかがやき532号に乗り込んだ。 行程の変更はあったが、天気に恵まれ、奥深い黒部源流の山々の展望と花を思う存分楽しむことができた。膝が心配だったが、やはり荷物の軽量化の功績は大きかった。この日夜の北アルプスドローン縦断の番組を見て、次は薬師岳に登らねばと誓った。(by くま)
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