コースタイム:
【1日目】東京駅 [7:20発]かがやき503号→金沢駅 [9:51着/弁当買う/10:29発]→福井駅 [12:01着/2日目の朝食など買う /12:50発]→<JR越美北線>→越前下山駅[14:17着]→(送迎車で4分)→九頭竜温泉ホテル・フレアール着(泊)
【2日目】ホテル・フレアール[5:20出発]→<JR越美北線>越前下山駅発[5:45]→勝原駅[5:51]→駐車場(トイレあり)[6:18]→元リフト終点[7:05/P1/7:12]
→ブナ林突入[7:25]→トトロの木[7:43]→白山ベンチ(935m)[8:00/P2/8:05]→1015m峰[8:22]→シャクナゲ平[8:53/P3/8:58]→もちがかべ(始まり)[9:14]→天空の稜線始まり[9:43]→鞍部[9:48]→荒島岳[10:05/10:20]→天空の稜線(1312m峰)[11:00/P4昼食/11:07]→ロープの連続始まり[11:30]→ [11:55/ P5/12:00]→ロープの連続終わり[12:42]→598m峰[13:02]→下山駅側登山口(400m)[13:20]→ホテル・フレアール(平成の湯)[13:36/立ち寄り湯/14:15]→越前下山駅発[14:38]→<JR越美北線福井行>→福井駅着[16:03]→福井マンテンホテル(駅前)(泊)
トレイルマップ
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高度記録
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【前夜泊】
福井は遠かった。金沢まで北陸新幹線で東京から2時間半、そこからさらに北陸本線に1時間半揺られて福井駅。荒島岳のある九頭竜湖近くは、越美北線で福井から1時間半かかる。ただしディーゼル機関車の本数が1日に4本しかないので、福井駅前に泊まってちょいと日帰りで…というわけにはいかない。コロナ禍で九頭竜湖周辺の民宿は今シーズンほとんど休業のため、やっと見つけたホテル・フレアールに予約、前夜泊した。ヒゲカズさんは東海道新幹線経由で、北陸新幹線経由の私と1分差で福井駅の同じホームに到着し合流した。福井の駅ビルで明日の朝昼用おにぎりを買ってから越美北線に乗り込んだ。
ホテル・フレアールは、下山駅から電話するとすぐ迎えに来てくれた。6時半の夕食まで時間があるので、下山駅近くの荒島岳登山口を下見することにした。軽く足馴らしのつもりが、気付くと200mも登ってしまい598m峰に着いた。時間を逆算して、「明日は、ここ598m地点に1時~1時半を目安にすれば、余裕で2時38分の機関車に乗れるね」と見通しがもてた。
駅の近くに新下山コースの説明板があり、登りなら4時間40分程度、下りなら3時間程度の上級者コースと絵地図に書いてあった。
【登山当日】(曇り時々小雨)
4時半に起床、室内で昨日購入したおにぎりを食べて5時20分にホテルを出発、歩いて越前下山駅へ。荷物はホテルにデポし、下山が早い時のために「平成の湯」(隣に併設。宿泊客は無料)のチケットももらっておいた。平成の湯は、コロナ禍以来、土日しか営業していないとのこと今日は土曜日なのでラッキー。
越前下山5時45分発に乗車、一つ先の勝原(かどはら)駅で下車する。駅から徒歩で登山口に向かう。工事現場を右手に見ながら緩やかに坂を上る。登山地図に出ている駐車場手前のトイレを借りたら、女性用が温便座で驚く。後から、一般用トイレは駐車場奥にあることに気付いた。私が借りたのは工事現場の方々のもののようだ。ごめんなさい(汗、笑)。
駐車場裏手は、元スキー場らしい緩やかな坂。桜の細い苗木が一面に植えられている。突き当りを右折し、草ぼうぼうの道を露払いしながら進み、左折して緩やかに登ると間もなく「元リフト終点」に着いた。振り返れば、白山や金沢方面に連なる山々や裾野の平野が見渡せる。朽ちたリフト柱の右手に「荒島岳登山口」の標示もあった。
荒島岳には、ここからピストンする人が多いそうで、道は整備され歩きやすい。やや粘土質でつるつるなので、今日のような小雨模様には下りで使いたくないな、という感じ。
十分ほど歩いて本格的なブナ林に入る。足元の落ち葉はほとんどすべてブナ。心が躍る。個人的な話だが、私は「ブナの葉フェチ」というほどあの形が好き。「神様がお創りなさった」と思うくらい平行で整った葉脈といい、微妙に波打つ葉の縁取りのフレアといい、なぜか胸がきゅんとするのだ。
この山のブナは巨樹が多く、先週歩いた新潟のブナ林とは全く違う。ブナの下はイワウチワ、イワナシなどががっちり生えている岩稜帯。ブナの根は地中へ向かって垂直には伸びづらいらしく、岩の表面に網の目状に根を這わせているのがわかる。豪雪に負けたのか、「トトロの木」という説明のついた巨樹が根こそぎ倒れていた。宙に向かって平らに広がった気の毒な根っこを回りこんで、先に進む。
福井の住人ヒーさんから「熊に要注意」とのアドバイスを受けていたので、登山口から鈴を鳴らしまくっていたが、歩いていて時々、フッと動物園の獣舎のような「けもの臭」を感じる場所があった。
標高935m白山ベンチから、一夜にして雪化粧した白山を眺める。ハクサンイチゲ、ハクサンフウロなど高山植物で有名な花の山。いつか花の季節に登ってみたいと思う。1015m峰を過ぎ、シャクナゲ平に到着、水を飲む。そこからゆるやかな鞍部を進むと「もちが壁」という急登の始まりだ。
ヒゲカズさんが言う。「鎖、要らないくらいだね」どんな場所も油断禁物は原則だが、凍った時期でも安全に登れるように鎖がついているのかな、と思った。小雨はすっかり止んで薄日が差してきた。「山頂まで晴れが続いてほしいですね」と、雨雲レーダーを見たら、なんと、自分たちのいる地点から西へ長細く帯状に、「雨雲なし」の地域が広がっていてびっくり。神様仏様に感謝する。
もちが壁を過ぎて森林限界を超えると、そこは紅葉した天空の尾根歩き。今日は風もなく気持ちよく歩ける。そして荒島岳山頂に到着。360度の大展望だ。白山の頂きは、もちが壁から見た時より少し雲がかかってしまっていた。止まっていると少し肌寒く、あとから賑やかな若者4人が来たのと、少し小雨がぱらつき始めたので「新・下山コース」方面へ向け、出発した。
勝原から登る時も、振り返ると山並みや里が見え楽しめた。だが下山コースは更に贅沢。人里が一切見えず、見晴るかす山々に続く天空尾根の一本道を歩く絶景だった。紅葉をまとった細い尾根道の先は緩やかに蛇行しながら、左前方で切れている。「あの先から急下降の鎖場になっているんですね」小雨をよけ、木の下で腹ごしらえしてから、空の散歩道の終わりまで進んだ。
そこは樹林帯に入る場所で、九頭竜川が眼下に見えた。「え~⁈ ここからあの川まで下りるんだよね~。真下じゃん」ヒゲカズさんが言った。北アルプスの真砂岳から湯俣へ下りるあの急下降を思い出した。でも現実はもっと急で、効率の良すぎる(⁈)下りだった。
自分が数えただけでも17~8本はザイルロープがかかっていた。雨風で崩れてどこに足をかけるかわかりにくいところも多かった。トラバースする所は横ばいの鎖だったが、他はほとんどロープ。下りながら、「ロープは補助のつもりで。全体重をかけちゃダメ」副隊長のアドバイスを思い出した。常々バリエーションの道なき道を歩いて鍛えられていたことに感謝した。アドレナリンがフル分泌だったのかな、「これは激しいぞ」とは思ったけれど「怖い」とは思わなかった。ロープの連続は1時間くらい続いた。高度が下がるほど、さほど急でないと感じる場所にもロープがあって、それに頼らずに自分の足だけで下りた。ヒゲカズさんにロープを持ってもらって(やらせ)記録写真を撮る余裕も出てきた。やっとロープ場が終わり、普通のハイキングコース的な場所に出たのが12時40分。「598m地点まで到着する目安は13時か13時半」は、やはり無理だったかなと頭をよぎるも、無理はせずに歩く。結局13時2分に598mに到着した。「あらら、ばっちり予定通りか、それ以上だね」
昨日下見をしておいたので気持ち的には余裕しゃくしゃく。一気にホテルまで歩いてデポした荷物を受け取り、「平成の湯」で気持ちよく汗を流すこともできた。
前日から買って冷やしてあった「加賀ひゃくまん石ビール」と、ヒゲカズさんが湯上りに買ったスーパードライを持って、目当ての福井行14時38分発ディーゼル車に乗りこみ、ビールで乾杯した。昨日から用意していた地鶏のから揚げも旨かった。(この)
今回の参加者::ヒゲカズさん、このちゃん (夜の食事と呑み ヒーさん)
実働時間:時間分
累積登高差(+):1458m
踏破距離:12.1㎞ (駅までの往復、前日の下見を入れると合計18.5km)
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