コースタイム:
〈1日目〉JR東京駅[6:36](たにがわ401号)⇒JR越後湯沢駅[8:06/8:20](ほくほく線犀潟行)⇒JR六日町駅[8:37]⇒ジャンボタクシー(18800円)⇒五十沢温泉ゆもとかん[9:00/荷物デポ/9:15]⇒魚沼展望台[10:00]→当間山[10:50/10:57]→あてま高原リゾート・ベルナティオ[12:40/13:33]⇒ジャンボタクシー(15700円)⇒ゆもとかん[14:27]
〈第2日目〉五十沢温泉ゆもとかん(荷物デポ)[7:50](送迎バス)⇒八海山ロープウェイ山麓駅(行列!)[8:13/8:40](ロープウェイ、往復1,800円400円割引き)⇒山頂駅[8:45/8:54]→女人堂[9:58]→P1[10:12/10:17]→薬師岳[10:48]→千本檜小屋[10:55]→分岐[11:00/11:07]→摩利支岳[11:50]→大日岳[12:05/12:18]→千本檜小屋[13:13]→薬師岳[13:20]→女人堂[13:58]→八海山ロープウェイ山頂駅[14:38](ロープウェイ)⇒山麓駅下売店(猿倉山ビール)[14:55/15:10]⇒タクシー(5800円)⇒ゆもとかん(荷物ピックアップ・入浴)[15:30/16:10]⇒送迎バス⇒六日町駅[16:29](北越急行ほくほく線越後湯沢行)⇒越後湯沢駅[16:50/蕎麦屋/19:01](とき342号)⇒大宮駅⇒東京駅[20:12]
トレイルマップ
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高度記録
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〈1日目〉
今回の山行は八海山に登る計画で、六日町駅まではるばるやって来た。一番良い季節のはずなのに、突然台風が出現して太平洋岸沿いに進路を取るようだ。明日は天気が回復して欲しいものだ。
越後湯沢駅でほくほく線に乗り換えるが、やはり雨は降り続いている。当初は高倉山の予定であったが、沢沿いに登るので雨の時は止めた方が良いだろうと、当間山に変更する。タクシーに今日の宿五十沢温泉ゆもとかんに立ち寄ってもらい、余分な荷物をデポする。
宿から45分程走り、魚沼展望台に着く頃には運良く雨が上がっていた。風がビュービューと音を立てて吹いている。展望台からは意外と遠くまでがクリアに見えている。コブのようにデコボコした八海山、右隣には中ノ岳、頂に雲が掛かった金城山、割引岳などが見える。眼下には新潟ならではの田園風景が広がっている。日本人にとっての原風景なのか、どこか懐かしいような、穏やかな気持ちに包まれる。
しばし眺めを楽しんだ後は、ブナ林の中の登山道を緩やかに登って行く。色付き始めたブナの木々が優しく迎えてくれる。樹林帯に入ると風も弱まって感じられる。道は良く整備されている。アップダウンも気にならないほどで、気持ち良く歩く事1時間弱、当間山山頂に到着。眺望なし、ブナ林を眺めながら休憩する。後はあてま高原リゾートホテルへ向かって下る。
ひと山全てがブナ林という感じで、この先もブナ林が途切れることなく続いている。山頂から1時間ちょっと歩いた所に見晴台があった。米山、弥彦山、鋸山、守門岳などがクッキリと見え、さらに海の向こうには佐渡ヶ島までが見えている。米山は三角形の美しい山容で、ひと際目を惹く。日本海が見えると嬉しくなる。雨と諦めていたので、予想外の眺めを楽しめてラッキーであった。
さらにブナ林が飽きるほど続く。大木はほとんどないので、軽やかな雰囲気の林になっている。ブナ林の中を歩くのは本当に気持ちの良いものであると改めて実感する。今度は是非とも芽吹きの頃にスノーシューで歩いてみたいものである。ブナ林に癒されて下りてきた所で、ススキの野原に出た。秋の郷愁を感じさせるススキにもまた癒される。
さらに舗装道路をしばらく歩くと、あてま高原リゾート・ベルナティオが見えて来た。いかにもリゾートホテルという感じの高級そうな建物である。登山客風情で中に入れてもらえるだろうか?ちょっと心配になるが、無事ラウンジでビールを飲みながらタクシーの到着を待つ。
五十沢温泉ゆもとかんに戻り、早速露天風呂に浸かる。7年前来た時のお風呂の印象とはずいぶん違っていた。記憶とはこんなに曖昧なものなのだろうか?
夕食でご飯が余ってしまったので、7年前のようにサランラップをお願いしたが、忘れられたようでとうとう出てこなかった。かつての長閑で暢気な、古き良き時代が貴重なものに思えてくる。(なお)
〈2日目〉
八海山に私が初めて来たのは、7年前の5月。その時は残雪期で、雪が降り始めて往路で付けたトレースが消えるため、安全を考えて薬師岳で引き返して来たのだった。(その時の報告はこちらから)
今回の企画は、紅葉の季節。前回のリベンジもあって皆飛びついた。しかし、ウッディさんが紹介してくれたヤマレコの記録などをじっくり読んで予習すると、実は八海山は「鎖だらけの激しい山」と知ってしまったものだから、女子たちは前日からドキドキ。初めから「私たちはノーマル点線コースでなく、迂回路を行きます!」と申告していた。しかし岩好きなウッディさんは「直登コースでも大丈夫ですね!私たちに遠慮せず、激しいコースを行ってくださいね」と話していた。
早朝宿の送迎車で、ロープウェイ乗り場へ。割引き前売り券が宿で買えたので、往復2200円のところを1800円で乗れた。八海山ロープウェイは700mの高度差を約7分で昇る。グングン高度を上げる間、米山の尖った稜線や、巻機山が見えた。
山頂駅に降り立ち、副隊長が言った。「いぃDay!山岳会の前の表紙写真、ここで撮ったな」そうそう。2013年の5月連休、あの時は隊長や、クボッチ含め総勢9名だった。雪がないと全く別の場所のよう。そこからすこし階段を上って登山道へ入る。
駅周辺は紅葉が色づき始めたばかりのよう。歩きやすい道を進んでいく。後から写真を見せてもらったら、登りながら越後駒ケ岳に守門岳、坂戸山に浅草岳などなじみの山々が見えていたようだが、「1時間半で女人堂、その先の千本檜小屋を過ぎたらいよいよ鎖の連続だ!」と、頭はそれでいっぱいなので、周りの山を見る余裕がなかった。その上、「何なんだ、この人の多さは!」後ろから追いつき詰めてくる登山者を先に行かせても、そのような集団はこまめに休むので、結局こちらがまた抜かすこともしばしば。いつもなら1時間に1本5分休憩を入れるところだが、今日は混み具合や、抜かせるチャンスを見計らって臨機応変に。女人堂、千本檜小屋など、他の人が休みそうな場所では止まらず、先を急いだ。
それでも細い道ではしばしば渋滞が起こったり、我々8人のパーティの中に他人が入って途切れそうになったりする。パーティが離ればなれになるのはよくないから、時々大声で「止まってよけて。後の人たちを先に行かせてあげて」「はい」と、確認しながらまとまって進んだ。「この調子じゃ、今日は大日岳までは無理だな」との副隊長の言葉に、残念だが仕方がないなと覚悟を決める。
そうこうしているうちに、迂回路と直登コースの分岐に到着。「あれ?先頭のウッディさんは?」 2番手を歩くのんちゃんから、しんがりの副隊長まで7人は離れずにいたが、ウッディさんは人の流れにのって直登コースへ行ってしまったようだ。 仕方がない、我々は迂回路を行こう。ここからは先頭が副隊長になり、最後尾はとの〜に歩いてもらうことに。
「迂回路」といいながら、ほぼ断崖絶壁に横ばいの鎖がついた道。「まぁ、鎖から手を放しさえしなければ安全に行けるから」「はい!」スタートしてみて、思わずメンバーのつぶやきがもれた。「迂回路なのに〜、こんなに足場が狭くて崖ばっかりなの〜?!」 八海山は全山ほぼ礫岩。水の働きで丸くなった石がごろごろ入っている。礫の種類は色々だが蛇紋岩やチャートなど滑りやすい石が入っているから、なおさら要注意だ。切り立った場所では緊張で腰が引けそうになるが、私の前を行く菊丸の足取りは軽く全然ビビっていない。「大キレットや劔岳を登った菊丸は、これくらいでは足はすくまないんだなぁ、さすが!」と思った。とにかく油断せず、気合いでいくしかない。
この高さまでくると、周りは美しい紅葉で、切り立った斜面にへばりつく錦繍の鮮やかさと、広がる裾野との調和がなんとも美しい。迂回路はさほどの渋滞もなく、思ったより早く摩利支岳へ取り付く分岐の原っぱに到着した。そこで一本入れて腹ごしらえ。ウッディさんが心配で電話するが、出ないので、ラインで私たちの現在位置と、山頂駅発の最終が16時と連絡を入れる。するとウッディさんから「上の道は渋滞がひどく、途中で引き返す」とメールが来た。
私たちは「ここから八ッ峰縦走路の方に行くよ」という副隊長の指揮に「はい」と返事をして進む。縦走路から駆け下りてきた若者3人が間に入ってきたので、摩利支岳、剣ヶ峰、大日岳は、副隊長、のんちゃん、ひろちゃん、菊丸の4人と、私、なおちゃん、との〜の3人に分かれる形で登って行った。
摩利支岳や大日岳は、放物線を逆さまにしたような形だ。ガウディのサグラダファミリア教会の形は、ロープを弛ませた双曲線のシェイプを逆さに写し取ってあの形にしたそうだが、八ッ峰もどこかの神様がそういう類の美しい形に削ったものなのかな、と思ってしまう。ずんぐりしたコーンには、途切れることなく鎖がついていて、のんちゃん、ひろちゃん…と登っていくのが手前の山から見える。自分が実際に登ってみると、丸みを帯びたコーンなので、下から見上げても山頂が見えない。
大日岳山頂の最後の鎖を登る時には、副隊長が上で声をかけてくれてとても心強かった。天照大神のお札と、大日岳山頂の如来像(髪の毛の逆立ったビリケンさんが怒ったみたいなお顔)を見て、思わずガッツポーズ。山頂を踏んだ頃、雲はずっと切れていて、麓まで気持ちよく見渡せた。強力晴れ男のとの〜に感謝。
さて下山。下りようとするときに団体が今まさに登ってこようとするところ。副隊長が「こちらは数人なので、先に下りさせてください」と声をかけてくれた。4人目の菊丸が下りたところで、下の人が「自分たちを早く登らせてください」「何人ですか?」「え〜わからん」(内心「カチン」)見下ろすと25〜6名以上はいる模様。「こっちはあと3人なので、下りさせてください」と、押し切る。
その後はさくさくっと下りた。山頂駅に着きしばし待ち、間もなく七曜岳で引き返して来たウッディさんとも合流できた。
「今日の山は、『気合い』しかないぞ」と張りつめた気持ちで登ってきたが、無事下山できてロープウェイに乗る時、心から感謝の気持ちでいっぱいになった。「副隊長がいてくれなかったらとてもじゃないけれど登れない山だった、本当にありがとう!」副隊長に伝えるとともに とのーとウッディさん、メンバーの皆にも感謝。仲間がいてこそ頑張れた、と思った。
さあ、下山後はビールが飲みたい、ということでロープウェイ係のお兄さんに聞いたら、駅の下の売店に売っているという。早速売店にまっしぐら、猿倉山ビール3種をゲットした。間もなくタクシーが来て五十沢温泉に寄って荷物をとりがてら温泉(宿泊客なので無料)で汗を流した。駅までは宿の車が近道をしてくれて、ほくほく線にも滑り込みセーフで乗車、越後湯沢の蕎麦屋で一杯やってから帰路についた。帰りの新幹線車内でも、八海山の山と景色と鮮やかな紅葉がふと瞼によみがえり、高揚感と余韻に最後まで浸っていた。(この)
今回の参加者:副隊長、ウッディーさん、との〜、このちゃん、菊丸、のんちゃん、ひろちゃん、なおちゃん
実働時間:〈1日目〉2時間33分 〈2日目〉
累積登高差(+):〈1日目〉192m 〈2日目〉908m
踏破距離:〈1日目〉7.8km 〈2日目〉8.3km
☆ 〈1日目〉山から下りたらこんな店
☆ 泊まったのはこんな宿
☆ 〈2日目〉山から下りたらこんな店
☆ 風呂上がりに一杯
☆ 打ち上げはこんな店
☆ 帰りに乗ったのはこんな電車 |