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「いぃDay!」山岳会日本支部   


第735 回:いぃDay!山岳会日本支部登山のご報告  

2023年8月11日()〜13日(

行き先【北アルプス/剱岳(2999m)

コースタイム:

1日目〉JR東京駅[6:16](かがやき501号)⇒JR長野駅[7:38/8:15](アルピコバス)⇒扇沢BS[10:15](往復12300円)⇒室堂BS[11:25/11:37]→雷鳥沢[12:17]→休憩[12:35/12:42]→休憩[13:20/13:32]→剱御前小舎[13:59]

2日目〉剱御前小舎[4:15]→剣山荘[5:14/5:20]→一服剱[5:50/5:57]→前剱[6:49]→平蔵の頭鎖場[7:28/7:40]→カニのタテバイ[7:51/8:34]→剱岳[9:14/9:20]→カニのヨコバイ[9:45/10:00]→一服剱[11:43/11:50]→くろゆりのコル[12:10/12:19]→剱御前小舎[13:35/13:40]→休憩2回(各7分)→室堂BS[15:40]⇒扇沢BS[16:55]⇒タクシー(7140円)⇒ホテルルートイン信濃大町駅前[17:15]

3日目〉信濃大町駅BS[8:20](アルピコバス)⇒長野駅[9:40](荷物デポ)⇒バス⇒善光寺⇒バス⇒長野駅[10:55/油や/14:03](あさま642)⇒大宮駅[15:15]

トレイルマップ
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高度記録
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悪天候やアクシデントのために、延期が重ねられて、今回は剣岳5回目のチャレンジとなった。今年を逃したら、流石にもう後はないだろう。

1日目〉
今日は快晴、ようやく天気に恵まれた。23日は好天が続きそうでホッとする。長野駅で新幹線を降り、バスに乗り換えて扇沢バス停に到着。ここから電気バス、ケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバスと4種類の乗り物を乗り継いでようやく室堂バス停までやって来た。これだけでも一仕事だ。

今日は明日の登頂に備えて剱御前小舎まで登る。前回剱岳を目指して来た時は雨風のためガスって真っ白な中を歩いた(山行記録はこちら)。室堂バス停から外へ出ると、真っ青な空をバックに立山が眼前に美しく聳えている。数分歩くと、真っ青な水を湛えるみくりが池が現れ、背後に聳える立山と、お互いに引き立て合っているようだ。

浄土沢へと階段の径を下って行き、橋を渡った後はザレた径を登り返す。しばらく登ると雷鳥沢キャンプ場に張られた、カラフルなテントの群れが小さく見下ろせるようになる。視線を上に向けると、立山、龍王岳なども綺麗に見えている。さらに浮石のあるザレた斜面を登って行く。前回はここを雨水が流れ落ちて、沢を歩いているようだった事を思い出す。天気が良いのはありがたい。

出発から2時間半、剱御前小舎に到着。剱岳は山頂付近にガスが掛かっている。17時からの夕食(前回と同じく豚肉の生姜焼きだった)を済ませ、のんびり過ごしていると、18:45頃綺麗な夕日が日本海に沈んで行くのを眺める事が出来た。北側には茜色に染まる空をバックに、貫禄ある剱岳が全容を現している。明日の快晴を祈って、早々に布団に潜り込む。

2日目〉
朝起きると今日も雲一つない快晴、4:15に小舎を出発し、ヘッドライトの明りを頼りに歩き始める。ザレた径を下って行くと、やがて大きな岩が延々と連なる下り径となる。体がまだしっかり目覚めていないし、ヘッドライトの明りだけでは岩が見にくいし、緊張を強いられる。こんな下の方から神経を使うのかと、「剱岳はやっぱり曲者だ〜、先が思いやられる」と愚痴りながら、なるべく平らそうな岩を見付けて、慎重に下って行く。

下り切った所にある剣山荘を過ぎると登りとなり、鹿島槍ヶ岳と五竜岳の間から登る日の出を眺めながら一登りすると、一服剱に到着。眼前に大きな岩山が聳えているが、これはまだ前剱・・。

一服剱を一旦下ってから前剱を登り始めると、いよいよ鎖場の連続が始まる。始めの頃の鎖場は鎖を使わなくても登れる感じで、少しホッとする。さっき眼前に聳えていた岩山を登り切ると前剱頂上に到着。いよいよ本峰の岩壁が我々を睨みつけるかのように、姿を現した。東側には後立山連峰が青空を背景に雄大に連なって見える。

この先は鎖場のアップダウンが激しくなり、鎖にしっかり掴まりながら慎重に進むと平蔵のコルに到着。いよいよ「カニのタテバイ」と言われる難所(垂直に近い斜度で17mの大岩を登り、さらに6mトラバースする)を迎える。なんと鎖待ちの行列が出来ていて、40分弱待つ羽目になった。ようやく自分の番がやって来た。登り始めは足を掛けられるような窪みがあったが、高度を上げて行くと、のっぺりした岩になってしまった。鎖待ちしている間に立ち往生してしまう女性の姿が度々見掛けられたが、気持ちがよく分かる。しかし、ここで立ち止まってはいられない!岩に打ち込まれた鉄釘に足を掛けて、腕力でがむしゃらに登るしかない。もう無我夢中だった・・・。

登り切った所で休憩を取り、息を整える。その後は岩がゴロゴロする径を進んで行くと、剱岳神社の祠が見えて来た。念願の剱岳山頂にようやく到着。アドレナリン出まくりのハイな状態のまま、祠の前で証拠写真を撮る。頑張ったご褒美の360度の眺望が開けている。感慨深い、極上の眺めだ。

眺めを楽しんだ後は下山開始、下りこそ気が抜けない。「カニのヨコバイ」と言われる難所(下り始めの一歩が岩の下で見えない)が待っている。やはり「カニのタテバイ」の前で待ちの行列が出来ていた。岩の陰で見えない一歩のところに赤ペンキで印が付けられていて、脚を踏み出し易くなっていた。副隊長がお手本を示してくれるのも助かる。それでも、第一歩は思い切りが必要だ。

10m程トラバースした後、腕力を使う垂直5mを下ると長いハシゴが現れる。高度感があり、ハシゴを跨ぎ、一段降りるまでが緊張する。その後さらに15m激下るとようやく平蔵のコルに到着。渋滞しないように登りと下りが別ルートになっているが、所々で合流する。

この先にも鎖場のアップダウンがあり、まだまだ緊張が続く。前剱、一服剱と通過して、復路は剣山荘まで下らずに、ハイマツの茂る尾根を進む。あまり人が通らないようで、ハイマツの藪漕ぎとなるが、冷たい風が通ったり、見納めに剱岳の勇姿を目に焼き付けたり、尾根径は気持ちが良い。くろゆりのコルを経由して往路の径と合流する。大岩の連なる径となったが、帰りは緩やかな登りだからか、剱岳の洗礼を受けた後だからか、なんてことのない径に感じられた。

ザレた径を登り切ると剱御前小舎が見えて来て、少し緊張を解く。デポした荷物を取ってから、浮石もあり、ザレて歩きにくい径を慎重に下る。ここで転んで怪我しては、最終バスに間に合わなくなる。雷鳥沢キャンプ場まで戻って来て、ようやく安堵のため息をつく。

しかし、この先には階段地獄が待っている。疲れた体に鞭打って、のろのろと進んで行く。階段の先にビールが置いてある情景を妄想して頑張る私・・。()

みくりが池温泉の長閑なテラスを横目で見ながら(生ビールを飲んでいる人達が羨ましい・・、)、ようやく室堂バス停に辿り着いた。みくりが池温泉が満室のため、信濃大町駅前のホテルまで行かなければならないのだ。扇沢までの乗り継ぎも難儀な事だ。

扇沢バス停でようやくビールにありつけた。今までの人生で最高に頑張った一日の後のビールの味は格別だった。それにしても、さすが剱岳、容赦なく手ごわい山であった。途中で出会った若者が「剱岳、かっけー!」と言っていたが、ピッタリな表現かもしれない(カッコいい・・ではちょっと上品すぎる気がするのだ・・)。(なお)

〈追記〉
1.剣山荘からの登りで、下山してくる親子連れ(お父さんと年長さん位の男の子)に出会った。剱岳に登頂して来たそうだ。こんな小さな子を連れて登るお父さんも凄いが、あの大岩を登り切る男の子も凄すぎる!お父さんは、男の子が泣きながら登ったと言っていたが、こんなに小さいうちから「剱岳の洗礼」を受けて、この子は将来どんなクライマーに成長するのだろうか?楽しみである。

2.下山してみたら、革靴が真っ白になっていた。汚れたせいか、岩で擦れたせいか?帰宅後洗ってみたが、汚れてはいなかった。どうやら日光に照らされ続けて、皮が乾燥して白っぽくなったようだ。靴クリームをたっぷり塗り込んだら元に戻った。・・・という事は私のお肌もこんな状態なの?ヤバい!慌ててパックしてみたが、このダメージは修復できるのだろうか・・・。恐るべし、剱岳!

今回の参加者:副隊長、との〜、なおちゃん
実働時間:(〈1日目〉2時間3分 〈2日目9時間半くらい
累積登高差(+):2952m
踏破距離:
15.9km


〜 以下クリックすると大きな写真がご覧になれます 〜


スライドショウの開始

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001 【第1日目】電気バス車内。
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002 地上へ出る地下道。
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003 黒四ダムから見上げる立山連峰。10時21分
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004 赤牛岳。
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005 迫力の放水。
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006 ダムの上を移動しながら観光。
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007 大タテガビン。
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008 その右に天狗ノ頭。
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009 懐かしの針ノ木岳。
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010 左端に鹿島槍ヶ岳と五龍岳。
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011 ここをビヤガーデンにすればいいのに。
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012 東沢の左に烏帽子岳や野口五郎岳、右に赤牛岳や水晶岳。
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013 行列の前のリュックサック。
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014 大観峰ロープウェイから。
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015 室堂は観光客で賑わっていた。11時32分
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016 富山の街が良く見える。
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017 懐かしの奥大日岳。
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018 懐かしの立山別山から真砂岳への稜線。
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019 みくりが池。
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020 みくりが池温泉の向こうに剱岳が。
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021 みくりが池と立山。
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022 これからキャンプ場まで下り、剣御前小舎まで登り返す。
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023 地獄谷。
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024 雷鳥沢。12時17分
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025 4年前はこんなだった。
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026 途中から室堂を振り返る。遠くに薬師岳。
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027 剣御前小舎に到着。13時59分
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028 小舎の談話室で生ビール。
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029 チラリと剱岳。今年は雪が少ない。
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030 夕食は4年前と同じ豚の生姜焼き。
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031 黄昏の剱岳。
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032 もう一枚。
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033 日本海に沈む夕陽。
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034 【第2日目】富山市街の夜景。シルエットは大日岳。3時48分
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035 朝食はおにぎりにしてもらった。
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036 もう山頂へアタックしている連中がいる。
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037 八ツ峰シルエット。
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038 剣沢キャンプ場。
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039 剣山荘が見えた。
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040 鹿島槍ヶ岳と五龍岳の間から陽が登るようだ。
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041 涼しいうちにどこまで登れるか。
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042 日の出。
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043 剣山荘に到着。5時14分
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044 立山別山。4年前はあっちからこっちを眺めていた。
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045 先ずは一服剣への登り。
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046 あそこが一服剣。
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047 霞に浮かぶ鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、鳴沢岳&赤沢岳。
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048 ハクサンフウロ。
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049 朝の富山。
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050 前剣が見えた。
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051 一服剣に到着。5時54分
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052 剣山荘を振り返る。
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053 剣山荘の奥は剣御前。
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054 前剣はジャンダルムの如く。
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055 蓮華岳と針ノ木岳が見えた。
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056 剣御前小舎が遠くなった。目の前は一服剣。
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057 前剣直下。
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058 イワギキョウ。
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059 眼下に剱岳の影。
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060 前剣に到着。6時48分
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061 ここまでまずまずのペース。
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062 後立山連峰の眺め。
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063 本峰が近くなってきた。
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064 平蔵ノ頭の鎖場で順番待ち。
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065 富山市街を眺めながら待つ。
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066 奥大日岳と大日岳。遠くには白山も見えている。
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067 上りと下りが分かれているのに結構待たされる。
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068 この最初の一歩目で女子が苦労するようだ。
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069 数メートル登ったらすぐ下り。
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070 岩が人の通行で磨かれている。
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071 平蔵ノ頭を振り返るとこんな感じ。
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072 いよいよこれからカニのタテバイ。7時51分
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073 ミヤマダイモンジソウ。
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074 20分経過。
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075 景色を眺めるぐらいしかやることが無い。
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076 立山三山。右に龍王岳も見えた。
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077 女子も果敢に登っている。
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078 30分経過。
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079 少々ペースが上がってきたようだ。
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080 鉄の杭が役立っているみたい。
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081 漸く順番が回ってきた。8時34分
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082 ヨツバシオガマ。
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083 剱岳山頂。9時34分
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084 はい、ポーズ!
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085 もう一枚。
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086 では一人で。
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087 入れ替わってまた一枚。
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088 だいぶガスが上がってきた。
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089 チラリと笠ヶ岳が見えた。
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090 室堂は遠いが、今日あそこまで戻らなくてはならない。
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091 下りの核心部、カニのヨコバイ。
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092 ここはそれほどの行列は出来ていない。
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093 見えないスタンスに最初の一歩を出せるかどうかがポイント。
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094 下にタテバイの取り付き点が見えている。
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095 ここまで来ればもう安心。
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096 ハシゴも最初だけ緊張する。
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097 下り始めたらもう大丈夫。
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098 平蔵ノ頭から振り返ると、ヨコバイに長い行列ができていた。
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099 トウヤクリンドウ。
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100 ミヤマホツツジ。
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101 前剣東尾根。
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102 一服剣まで戻ってきた。11時43分
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103 またヨツバシオガマ。
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104 クロユリのコルから剣山荘を眺める。
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105 シロバナミヤマリンドウ。
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106 剣沢の眺めも見納め。
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107 剣御前小舎。13時40分
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108 やっと雷鳥沢キャンプ場が見えてきた。14時29分
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109 雷鳥沢ヒュッテはこんなボロボロでもやっているのか。
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110 室堂に到着。15時40分。結局11時間20分かかりました。
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111 アルペンルートは待ち時間なしで次々に乗り換え。
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112 扇沢で漸くビール。16時58分
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113 今宵は信濃大町のここで祝杯。
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114 お疲れさんでした!
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115 懐かしい味のポテトサラダ。
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116 ビールの後は長野のワイン。
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117 肉っ気が欲しいとモツ煮込み。
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118 牛すじ煮込みも頼んだ。
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119 鮎は岐阜の天然もの!
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120 太刀魚西京焼きも美味かった。
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121 ブリカマ。
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122 Paypay、OKでした。
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123 【第3日目】ホテルの客室から爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五龍岳のモルゲンロート。
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124 ルートインの朝食はビュッフェスタイル。
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125 長野駅行のバスはガラガラ。
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126 善光寺に参拝。
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127 日なたは超暑い。
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128 ということでさっさと蕎麦屋「油や」へ逃げ込む。
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129 天ぷら盛り合わせ。
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130 松本のクラフトビールを賞味。
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131 キノコのチーズ焼き。蕎麦屋らしからぬメニュー。
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132 丸茄子はとの〜が絶賛。
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133 ビールの後は長野市の地酒。
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134 馬肉のヒレ、んまい。
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135 酒が進む。
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136 キノコおろし和えも。
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137 揚げ出し豆腐の肉みそあんかけ。これも美味かった。
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138 もりそばで締める。
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139 我々のあとには行列ができていた。
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140 「あさま」は満席。
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141 大宮のベトナム料理店で仕上げた。

〈全天球画像〉黒部ダムにて / 大観峰にて / 剣山荘にて / カニのタテバイにて

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