コースタイム:
〈1日目〉JR東京駅[6:16](かがやき501号)⇒JR長野駅[7:38/8:15](アルピコバス)⇒扇沢BS[10:15](往復12300円)⇒室堂BS[11:25/11:37]→雷鳥沢[12:17]→休憩[12:35/12:42]→休憩[13:20/13:32]→剱御前小舎[13:59]
〈2日目〉剱御前小舎[4:15]→剣山荘[5:14/5:20]→一服剱[5:50/5:57]→前剱[6:49]→平蔵の頭鎖場[7:28/7:40]→カニのタテバイ[7:51/8:34]→剱岳[9:14/9:20]→カニのヨコバイ[9:45/10:00]→一服剱[11:43/11:50]→くろゆりのコル[12:10/12:19]→剱御前小舎[13:35/13:40]→休憩2回(各7分)→室堂BS[15:40]⇒扇沢BS[16:55]⇒タクシー(7140円)⇒ホテルルートイン信濃大町駅前[17:15]
〈3日目〉信濃大町駅BS[8:20](アルピコバス)⇒長野駅[9:40](荷物デポ)⇒バス⇒善光寺⇒バス⇒長野駅[10:55/油や/14:03](あさま642号)⇒大宮駅[15:15]
トレイルマップ
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高度記録
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悪天候やアクシデントのために、延期が重ねられて、今回は剣岳5回目のチャレンジとなった。今年を逃したら、流石にもう後はないだろう。
〈1日目〉
今日は快晴、ようやく天気に恵まれた。2,3日は好天が続きそうでホッとする。長野駅で新幹線を降り、バスに乗り換えて扇沢バス停に到着。ここから電気バス、ケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバスと4種類の乗り物を乗り継いでようやく室堂バス停までやって来た。これだけでも一仕事だ。
今日は明日の登頂に備えて剱御前小舎まで登る。前回剱岳を目指して来た時は雨風のためガスって真っ白な中を歩いた(山行記録はこちら)。室堂バス停から外へ出ると、真っ青な空をバックに立山が眼前に美しく聳えている。数分歩くと、真っ青な水を湛えるみくりが池が現れ、背後に聳える立山と、お互いに引き立て合っているようだ。
浄土沢へと階段の径を下って行き、橋を渡った後はザレた径を登り返す。しばらく登ると雷鳥沢キャンプ場に張られた、カラフルなテントの群れが小さく見下ろせるようになる。視線を上に向けると、立山、龍王岳なども綺麗に見えている。さらに浮石のあるザレた斜面を登って行く。前回はここを雨水が流れ落ちて、沢を歩いているようだった事を思い出す。天気が良いのはありがたい。
出発から2時間半、剱御前小舎に到着。剱岳は山頂付近にガスが掛かっている。17時からの夕食(前回と同じく豚肉の生姜焼きだった)を済ませ、のんびり過ごしていると、18:45頃綺麗な夕日が日本海に沈んで行くのを眺める事が出来た。北側には茜色に染まる空をバックに、貫禄ある剱岳が全容を現している。明日の快晴を祈って、早々に布団に潜り込む。
〈2日目〉
朝起きると今日も雲一つない快晴、4:15に小舎を出発し、ヘッドライトの明りを頼りに歩き始める。ザレた径を下って行くと、やがて大きな岩が延々と連なる下り径となる。体がまだしっかり目覚めていないし、ヘッドライトの明りだけでは岩が見にくいし、緊張を強いられる。こんな下の方から神経を使うのかと、「剱岳はやっぱり曲者だ〜、先が思いやられる」と愚痴りながら、なるべく平らそうな岩を見付けて、慎重に下って行く。
下り切った所にある剣山荘を過ぎると登りとなり、鹿島槍ヶ岳と五竜岳の間から登る日の出を眺めながら一登りすると、一服剱に到着。眼前に大きな岩山が聳えているが、これはまだ前剱・・。
一服剱を一旦下ってから前剱を登り始めると、いよいよ鎖場の連続が始まる。始めの頃の鎖場は鎖を使わなくても登れる感じで、少しホッとする。さっき眼前に聳えていた岩山を登り切ると前剱頂上に到着。いよいよ本峰の岩壁が我々を睨みつけるかのように、姿を現した。東側には後立山連峰が青空を背景に雄大に連なって見える。
この先は鎖場のアップダウンが激しくなり、鎖にしっかり掴まりながら慎重に進むと平蔵のコルに到着。いよいよ「カニのタテバイ」と言われる難所(垂直に近い斜度で17mの大岩を登り、さらに6mトラバースする)を迎える。なんと鎖待ちの行列が出来ていて、40分弱待つ羽目になった。ようやく自分の番がやって来た。登り始めは足を掛けられるような窪みがあったが、高度を上げて行くと、のっぺりした岩になってしまった。鎖待ちしている間に立ち往生してしまう女性の姿が度々見掛けられたが、気持ちがよく分かる。しかし、ここで立ち止まってはいられない!岩に打ち込まれた鉄釘に足を掛けて、腕力でがむしゃらに登るしかない。もう無我夢中だった・・・。
登り切った所で休憩を取り、息を整える。その後は岩がゴロゴロする径を進んで行くと、剱岳神社の祠が見えて来た。念願の剱岳山頂にようやく到着。アドレナリン出まくりのハイな状態のまま、祠の前で証拠写真を撮る。頑張ったご褒美の360度の眺望が開けている。感慨深い、極上の眺めだ。
眺めを楽しんだ後は下山開始、下りこそ気が抜けない。「カニのヨコバイ」と言われる難所(下り始めの一歩が岩の下で見えない)が待っている。やはり「カニのタテバイ」の前で待ちの行列が出来ていた。岩の陰で見えない一歩のところに赤ペンキで印が付けられていて、脚を踏み出し易くなっていた。副隊長がお手本を示してくれるのも助かる。それでも、第一歩は思い切りが必要だ。
10m程トラバースした後、腕力を使う垂直5mを下ると長いハシゴが現れる。高度感があり、ハシゴを跨ぎ、一段降りるまでが緊張する。その後さらに15m激下るとようやく平蔵のコルに到着。渋滞しないように登りと下りが別ルートになっているが、所々で合流する。
この先にも鎖場のアップダウンがあり、まだまだ緊張が続く。前剱、一服剱と通過して、復路は剣山荘まで下らずに、ハイマツの茂る尾根を進む。あまり人が通らないようで、ハイマツの藪漕ぎとなるが、冷たい風が通ったり、見納めに剱岳の勇姿を目に焼き付けたり、尾根径は気持ちが良い。くろゆりのコルを経由して往路の径と合流する。大岩の連なる径となったが、帰りは緩やかな登りだからか、剱岳の洗礼を受けた後だからか、なんてことのない径に感じられた。
ザレた径を登り切ると剱御前小舎が見えて来て、少し緊張を解く。デポした荷物を取ってから、浮石もあり、ザレて歩きにくい径を慎重に下る。ここで転んで怪我しては、最終バスに間に合わなくなる。雷鳥沢キャンプ場まで戻って来て、ようやく安堵のため息をつく。
しかし、この先には階段地獄が待っている。疲れた体に鞭打って、のろのろと進んで行く。階段の先にビールが置いてある情景を妄想して頑張る私・・。(笑)
みくりが池温泉の長閑なテラスを横目で見ながら(生ビールを飲んでいる人達が羨ましい・・、)、ようやく室堂バス停に辿り着いた。みくりが池温泉が満室のため、信濃大町駅前のホテルまで行かなければならないのだ。扇沢までの乗り継ぎも難儀な事だ。
扇沢バス停でようやくビールにありつけた。今までの人生で最高に頑張った一日の後のビールの味は格別だった。それにしても、さすが剱岳、容赦なく手ごわい山であった。途中で出会った若者が「剱岳、かっけー!」と言っていたが、ピッタリな表現かもしれない(カッコいい・・ではちょっと上品すぎる気がするのだ・・)。(なお)
〈追記〉
1.剣山荘からの登りで、下山してくる親子連れ(お父さんと年長さん位の男の子)に出会った。剱岳に登頂して来たそうだ。こんな小さな子を連れて登るお父さんも凄いが、あの大岩を登り切る男の子も凄すぎる!お父さんは、男の子が泣きながら登ったと言っていたが、こんなに小さいうちから「剱岳の洗礼」を受けて、この子は将来どんなクライマーに成長するのだろうか?楽しみである。
2.下山してみたら、革靴が真っ白になっていた。汚れたせいか、岩で擦れたせいか?帰宅後洗ってみたが、汚れてはいなかった。どうやら日光に照らされ続けて、皮が乾燥して白っぽくなったようだ。靴クリームをたっぷり塗り込んだら元に戻った。・・・という事は私のお肌もこんな状態なの?ヤバい!慌ててパックしてみたが、このダメージは修復できるのだろうか・・・。恐るべし、剱岳!
今回の参加者:副隊長、との〜、なおちゃん
実働時間:(〈1日目〉2時間3分 〈2日目9時間半くらい
累積登高差(+):2952m
踏破距離:15.9km
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