第153回 マンマ・ミーア!山行ご報告
行き先
北アルプス*黒部五郎岳(2839.7m),鷲羽岳(2924.4m),
野口五郎岳(2924.5m)2018年8月19日(日)~22日(水) p180819 コースタイム:
<1日目> JR東京駅6:16 (かがやき501号金沢行)→JR富山駅8:26/8:59(電鉄富山)→有峰口9:36/9:59(バス 2450円)→折立10:32/10:45→休憩11:40/11:45→三角ベンチ12:25→休憩12:40/12:45→休憩13:22/13:27→休憩14:17/14:22→太郎平小屋14:56着
<2日目> 太郎平小屋5:28→太郎山5:38/5:40→休憩6:28/6:33→北ノ俣岳7:33→休憩7:38/7:47→休憩8:38/8:48→中俣乗越9:10→休憩9:32/9:37→休憩10:38/10:40→黒部五郎の肩10:48/10:53→黒部五郎岳11:10/11:17→黒部五郎の肩11:30/11:40→休憩12:32/12:40→黒部五郎小舎13:50着
<3日目> 黒部五郎小舎4:38→休憩5:16/5:19→虹5:44→三俣蓮華岳巻道分岐(ザイマンと別れる)6:19/6:23→休憩6:37/6:45→三俣山荘7:32/7:48(朝食)→休憩8:32/8:46→鷲羽岳9:15/9:25→ワリモ岳10:04→ワリモ北分岐10:22/10:32→水晶小屋11:14/11:28(昼食)→東沢乗越12:15/12:20→休憩12:55/13:00→休憩13:30/13:37→真砂岳分岐13:55→休憩14:38/14:42→野口五郎岳14:54/15:05→雷鳥15:13→野口五郎小屋15:23着
<4日目> 野口五郎小屋5:54→ピーク6:04/6:08→上着脱6:31/6:35→休憩7:32/7:40→休憩8:14/8:20→道標8:30→休憩8:52/9:00→烏帽子小屋9:33/10:10(コーヒー)→休憩10:56/11:04→三角点2208.5m11:15→休憩11:29/11:34→’中休み’11:54→休憩12:10/12:18→’権太落とし’12:35→休憩13:05/13:10→登山口13:25→丸太橋13:29→高瀬ダム13:55→タクシー(8000円)→JR信濃大町駅前七倉荘14:24着→信濃大町駅15:27⇨JR松本駅16:26/16:58(スーパーあずさ28号新宿行)→立川19:11着 \(^0^)/
トレイルマップ
☆クリックすると地図が拡大します↓
高度記録
☆高度記録拡大は画像をクリック↓
今回の参加者: ひろちゃん、菊丸、ザイマン、このちゃん
実働時間:合計27時間30分 = 3時間50分+7時間20分+10時間+6時間20分
累積登高差:合計(+)4006m = 1056m+953m+1489m+508m
踏破距離:合計40.8km = 6.6km+12.3km+11.9km+10.0km
【1日目】折立から太郎平まで
昨年の夏、太郎平から薬師沢へ下りて雲ノ平~水晶岳~鷲羽岳~双六岳~鏡平と縦走した時から、水晶小屋前から見た黒部五郎岳の雄姿が目に焼き付いていた。「今年は黒部五郎へ」そんな思いでプランを立てた。裏銀座の野口五郎岳までつなげて「五郎五郎の山行」を。
1日目は折立から太郎平まで。昨年は8月10日頃だったのでキンコウカの黄色い花畑だったが、今年はイワショウブの白い花畑。たった10日ほどの違いでも稚児車やシナノキンバイ、ハクサンイチゲもほとんど終わっていて、山の夏の短さを改めて感じる。
昨年は薬師沢小屋まで一気に下りたが、今回は太郎平小屋に宿泊した。夕映えの大パノラマを心ゆくまで楽しめた上に、布団は一人一枚で眠れて、幸先のいいスタートだ。(Byこの)
【2日目】太郎山から黒部五郎小舎まで。
5時に朝食を食べ、すぐに出発。すぐ隣の太郎山にも折角なので立ち寄る。薬師沢への道を分け、黒部五郎を目指す。左は池塘の点在する草原、右はお花畑のなごり。ハクサンイチゲや足元に立山リンドウやウサギギクも残っていた。チングルマは綿毛ももう終わり、白っぽくカラカラ。さぞ花盛りの時期は美しいだろうと想像する。北ノ俣岳までの登りは岩ゴロゴロ。太郎山から二時間弱で北ノ俣岳に到着。とにかく長い。そこから3時間10分で黒部五郎の肩へ到着。肩から山頂までは12分。頂上から五郎のカールを見下ろす。雲が晴れて全容が見えた。まるでおわん型の箱庭みたいだった。
間もなくまた霧が来たので、先に進む。岩稜コースでなく、カールの底を歩くことに。そそり立つ崖状の道を一気に下りていく。我々の他には2~3人しか人がいない。カールと言えば千畳敷や涸沢を想像していたが、黒部五郎のカールには千畳敷のような木道はないし、涸沢カールのような歩きやすさもない。岩や石がゴロッゴロ。思いのほか体力を消耗する。
【3日目】黒部五郎小舎から野口五郎小屋まで。朝、4:30に出発。辺りはまだ薄暗い。黒部五郎小舎は地図で見ると、ちょうど黒部五郎岳と鷲羽岳の鞍部にあるのでまず稜線まで登らなければならない。昨日の土砂降りの雨で草木は濡れている。登りの途中で明るくなった。チングルマは薄いピンクの綿毛を揺らしている。遥か向こうに半円の虹が・・皆で歓声を上げた。今日はいい日になりそうだ。
三俣蓮華岳への分岐に着く。登りたい気持ちはあったが今日は一番のロングコースで先は長い。ザイマンとここで別れて巻道を進む。この道はお花畑で初夏にはさぞかし多くの高山植物が咲き誇ることだろう。ガラガラ岩を登りきると向こうに三俣山荘が見えてきた。黒部の山賊が跋扈した最奥地にとうとうやってきた。8月も半ばでも大きな雪渓が残っている。水場を通り小屋に入ろうとした時に雲に覆われていた槍の穂先が一瞬見えた。(三俣蓮華岳へ登る稜線の道を進んだザイマンからは、30分ほどずっと巻き道を行く私たちが見えていたそうだ。何度か「お~い!」と呼ぶ声に、菊丸は気付いていたそうだが、「カベッケが原周辺で聞く『オーイ』に『オーイ』と答えると遭難する」の言い伝えを思い出して、ずっと無視していた。ザイマンはちょっと淋しかった(笑))
朝食用のお弁当を食べて出発する。1日目の折立からずっと一緒だった単独行の年配の男性とここでお別れ。なんでも50年以上前に剣岳を何度も登ったが心臓を悪くして、山から離れていたとの事。水晶岳を往復して三俣山荘に泊まると仰っていた。
さて、こちらは鷲羽岳を目指していこう。一歩ずつゆっくりと登る。三俣山荘が小さくなったと思った時にヘリの爆音が聞こえてきた。小屋番達はきっと首を長くして荷物を待っていただろう。砂礫の急登の先にガスに包まれた頂がうっすらと見える。山頂は眺望なし。山上湖の鷲羽池は全く見えなかったのは残念だった。下山途中で何人かの登山者達とすれ違う。ガスっている中を慎重に降りる。
ワリモ岳の先、ワリモ北分岐は雲ノ平、高天原、水晶岳への交差点。沢山の雨用カバーをつけたリュックが何個も置いてある。天気は晴れたりガスがかかったりの繰り返し、雨だけは降らないでと祈る。水晶小屋はガスの中、風があり外は寒いので小屋の中でお弁当を食べた。ふと見ると伊藤正一さんの写真が飾ってあった。
東沢乗越まで、絶壁の巻道を進む。まるで爆裂火口のように大きくてえぐれている。遥か向こうの雲の下に野口五郎岳に続く裏銀座の稜線が見えた。
東沢乗越からは岩の世界。吹きさらしの稜線はときおり強い風が吹く。帽子が飛ばされそうだ。どんどん天気が良くなってきて、青空が大きくなってきた。岩場が延々と続く。
振り返れば、硫黄岳と穂高の山並みが雲の下に見える。赤い岩肌を見せる硫黄岳は大迫力だ。真砂分岐に到着。ガスが取れてきたので水晶岳や歩いてきた稜線が望めるようになった。(湯俣温泉が水量が多く閉鎖中とのことで、湯俣へ下りる道は通行止めになっていた。そちらへ下りた時の記録はこちら2010年8月3日~5日)
野口五郎岳はなだらかな曲線の山容で白い花崗岩に覆われてるように見える。あと、少し。
山頂は風が強い。眼下に今日の宿、野口五郎小屋が見下ろせる。平屋の屋根に石が沢山置かれている。強風が吹くのであろう。小屋への途中で雷鳥に出会った。小屋では名物のアイスクリーム(ゴロリンアイス 小豆とコーヒー味)を頂く。よく歩いた1日であった。(byひろ)
【4日目】野口五郎小屋から高瀬ダム(ブナ立て尾根登山口)まで
朝5時少し前に小屋を出てみると、ちょうど東の空が金色に光りはじめたところだった。そのまま太陽が昇ってくるのを待ちたかったが、朝食の時間になったので小屋に戻った。
最終日は6時前に出発。素晴らしい青空だ。三ツ岳に向かって歩き出したが、あまりにも眺望がよくて、足が止まってしまう。表銀座の方は、大きな大天井岳がどっかり見えて、その後ろには常念岳が顔をのぞかせている。雲海の彼方には八ヶ岳、富士山までもが見えた。反対側の読売新道の方は双耳峰の水晶岳、赤牛岳が見えて、その向こうに薬師岳、さらに日本海が見える。そして、しばらく歩いているうちに、ついに槍ヶ岳と穂高岳をはっきりと見ることができた。テンションは上がりっぱなし。しかし、足元は花崗岩の岩山が続くので、見とれてばかりいられない。しかも、烏帽子岳方面からの登山者の方が多いのか、目印の丸がわかりづらいところについていて、右往左往することもあった。そういえば、来る前にホームページを見ていたが、ブナ立尾根から入って烏帽子岳、野口五郎岳方面へ歩く話ばかりだった。
ほどなく、三ツ岳が大きく見えてきた。三ツ岳西峰あたりはまた大展望で、槍ヶ岳や穂高岳、大天井岳などの山々や、反対側の鷲羽岳や水晶岳、赤牛岳から立山、龍王岳などの眺めを楽しんだ。
三ツ岳の山頂を巻いてゆるやかに下っていくと、コマクサの群生地があり、咲き残っている花に出会うことができた。そのあたりからは、ひょっこりと高い烏帽子岳や南沢岳が大きく見えて、その後ろには針ノ木岳や蓮華岳も見えた。最後の大展望に別れを惜しみ、どんどん下っていくと道は樹林帯に入り、烏帽子小屋はもうすぐそこだ。かわいらしいひょうたん池のそばを通る。烏帽子小屋では、コーヒーを飲みながら、窓から赤牛岳と薬師岳の稜線の眺めをゆっくり楽しんだ。
烏帽子小屋を出て、いよいよブナ立尾根を下る。ブナ立尾根は、北アルプス三大急登のひとつと言われており、登山口の高瀬ダムから1250mの標高差がある。小屋から登山口まで、12から0までの番号札が、おおよそ100mごとに置かれているという。道はよく整備されているけれども、木の根が大きく張り出していたり、「権太落シ」という難所もあったりで、気が抜けない。肝心の番号札だが、やはり登ってくる人のためのものとみえて、下りでは見落とす方が多かった。「北アルプス裏銀座登山口」に着いたときはホッとした。
それから白くまぶしい河原を歩いて、不動沢吊橋を渡る。高瀬ダムのほとりでは、ヘリコプターが荷揚げをしていた。長い不動沢トンネルを抜けてダムの向こう側まで歩き、電話ボックスからタクシーを呼ぶことになっていた。ダムの上でふと見ると、向こう側から車が走ってきて近くに止まった。「あれれ?」と思ってよく見ると、タクシーだった。お客を拾うために信濃大町から来たところだそう。私達からすると「渡りに船」、向こうからみれば「ネギ鴨」かもしれないが、待ち時間ゼロで信濃大町駅徒歩5分の「旅館七倉荘」のお風呂に直行することができた。(by菊丸)
~ 以下クリックすると大きな写真がご覧になれます ~
このちゃんTrailMapsINDEXへ
「いぃDay!」山岳会サイトへ